2017年04月21日
乳酸菌と大豆イソフラボンの相乗効果

乳酸菌と大豆イソフラボンの相乗効果
大豆イソフラボンは、女性ホルモンの一つであるエストロゲンと非常に良く似ていることから、乳がんなどの女性特有の疾患に対する影響が大きいと考えられ注目されている食品の一つです。
特に乳がんについては、「約70%がエストロゲンの影響を受けている」と言われています。これは、正常な乳腺細胞や乳幹細胞は、エストロゲンに対する受容体を持っているためにエストロゲンがくっつくことで増殖します。
実は、癌細胞もエストロゲンの受容体を持っている場合が多いために正常な乳腺細胞などと同じように増殖してしまうと考えられているのです。
また、初潮年齢の低下や、閉経の高年齢化に伴い女性のエストロゲンにさらされる期間の長期化や、食生活の変化によって乳がんの罹患率が変化しているとも言われています。
女性を中心に、更年期と言われる症状が出る方もいるかと思いますが、これもエストロゲンが大きく関わっています。
エストロゲンというホルモンは、卵巣や脂肪組織で生成されると言われていますが、女性の場合、卵巣からの分泌が少なくなったり、止まってしまうと、本来あるという状態で働いている器官に不具合が出てきてしまいます。この不具合が、更年期症状と言われるものです。
皆さんもご存じのように、更年期症状は、「誰もがある症状でありながら、個人差が大きい症状」とも言われています。これは、エストロゲンの代替物質である、エクオールの産生がうまくいく人とそうでない人との違いなのでは・・・と考えられているのです。
また、イソフラボンもエストロゲンと非常に構造が似ているために、疑似エストロゲンとも言われていますが、同じような働きをすると考えられているのです。
イソフラボンはこのようなメカニズムで健康効果につながっていると考えられていますが、「乳」の脂肪分の多いイメージと「大豆」の高タンパク低脂肪という健康イメージも併せて、も豆乳などが人気になっているとも言えると思います。
そのような中、乳酸菌(L.カゼイ・シロタ株)とイソフラボン及び大豆イソフラボンの摂取と乳がん発症との関連性を研究したものがありますのでご紹介します。
この研究は、疫学研究の第1人者である東京大学大学院の大橋靖雄教授、京都大学医学部付属病院の戸井雅和教授等が行ったもので、40~55歳の初期乳がん(術後1年以内)患者306名と非罹患者662名の計968名を対象に行われました。
その結果、乳がんの発症リスクが、L.カゼイ・シロタ株の摂取が週4回未満と以上で、より多く摂取した場合が65%、大豆イソフラボンの摂取が18.76mg/日未満と43.78mg/日以上では、48%、乳酸菌と大豆イソフラボンの両方を摂取した場合と両方とも摂取していない場合との比較では、両方とも摂取した場合はしていない場合の36%に発症率が抑えられたという結果が得られています。
この研究を行った、大橋靖雄教授によりますと、「L.カゼイ・シロタ株を利用した結果のため、他の乳酸菌を摂取した場合に同様の効果があるかは明らかでない」と今後の研究に対する課題も提起しています。
また、乳酸菌と大豆イソフラボンは「必ずしも同時に摂取する必要があるとは言い切れないが、毎日続けて摂取する習慣が必要・・・」と乳酸菌と大豆イソフラボンとの複合的な健康効果について今後のさらなる研究も必要についても言及しています。
乳酸菌と他の食品を同時に摂ることでの相乗効果としての、健康効果がこれから様々な食品で出てくることも、期待できるかもしれません。