2017年08月26日
棲家から見る「乳酸菌」と「ビフィズス菌」の違い

近年、腸内フローラという言葉が聞かれる中で、「乳酸菌」とか「ビフィズス菌」とか色々な菌の名前を耳にする機会が多いかと思います。菌そのものの特徴的な違いに関しては以前説明させていただきましたので、今回は「人間の身体のどのような所いるのか・・・」という視点で、この二つの菌の違いについて考えてみたいと思います。
その前に、人間の身体のどのような所に菌がいるのかを考えてみたいと思います。
基本的には、身体の内部以外はほとんど菌がいると考えていただいて良いかと思います。いいかえれば、「菌で、守られている・・・」と考えた方が良いのかもしれません。
見えるところからいえば、皮膚には、皮膚常在菌叢と呼ばれる菌のバリアがあり、多くの菌がいます。
続いて、消化管ですが、この消化管も厳密に云いますと食べ物が入ってきて、排出される管の様な存在であることからも外部にさらされている器官になります。そのために、入口である口腔内から肛門まで、それぞれの菌が菌叢という一定の仲間同士のコロニーをつくりながら生息しています。
この数においてもそれぞれの器官に一様に存在しているのではなく、それぞれの器官の特徴にあった種類や数になっているのです。
実は、腸内細菌をはじめとする微生物は、「嫌気性菌」と呼ばれる酸素が存在すると生きることが出来ない種類が意外に多いとされています。そのために口の中は好気性のものが結果的に残ることになりますが、それでも、唾液1mlあたり1億個以上の菌がいると言われています。
続いて、胃ですが、胃の場合は胃酸も含めて強力な酸性環境のために、空腹時では口腔内の10万分の1まで少なくなります。また、十二指腸から小腸の上部に常在する菌は非常に少なくなりますが、小腸の下部に行くに従って菌の数が急激に上昇して大腸内には多くの腸内細菌が存在する・・・ということになります。
よく腸内細菌は数100種類100兆個と言われていますが、小腸と大腸でも一様にいるわけではなく、それぞれの環境に合わせて菌が住んでいるということなのです。
諸説ありますが、大腸の菌の数と比較した場合に、小腸の菌の数は100分の1以下なのでは・・・という話もあります。
ここで、乳酸菌とビフィズス菌の話に戻りますが、乳酸菌とビフィズス菌は大きな違いがあります。多くの乳酸菌は、嫌気性が顕著にみられるようなものは少なく、酸素があっても生きられますが、ビフィズス菌は嫌気性が強く酸素があると生きることが難しいのです。
そのために、ビフィズス菌は酸素の少ない大腸に留まり、多くの乳酸菌は小腸の下部に留まることで、身体に対して、色々な働きをすることになります。
幼少期はともかくとして、大人になると腸内フローラの構成は決まってきますので、外部から摂取した菌の定着は難しいのが現実ですので、「自分に合った良い菌をより効率的に摂取したい・・・」とうのが、多くの方々の望みだとすれば、それぞれの菌の特徴を良く知っておくことも大切だと思います。
例えば、乳酸菌であれば「小腸に留まって作用する菌」なので、小腸の特徴として、「パイエル板などの免疫システムの中核機能がある」ことや、「数1千億個程度の細菌の数」ということを考えると、免疫システムを通じて他の常在菌に対して、より多くの影響を及ぼすことが出来る。
ビフィズス菌であれば、腸内腐敗の多い大腸の中で活躍す可能性も大きいが、常在菌の数が多いので直接の影響力が少ない可能性があるということです。
いずれにしても、それぞれの菌の特性が色々あることは事実のようなので、出来れば多くの種類・・・それが可能でなければ、より自分にあった菌を効率的に摂取することが大切です。
良く見かける「良い菌を増やし、悪い菌を抑える・・・」という表記も研究結果に基づいた上で、始めて記述できるということも知っておくと良いかもしれませんね。