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2017年09月16日

味覚と嗅覚の意外な関係

味覚と嗅覚の意外な関係


 「食欲をそそる匂い・・・」という言葉があるように、嗅覚が食欲と大きな関わりがあることはご存知かと思います。 しかし、実際に食べたときに感じる「味覚」と「嗅覚」には思った以上に違いがあるそうなのです。

 味覚に関して云いますと、多くの人は甘いものが好きで、苦いものが嫌いです。これは、先天的に決まっていると考えられています。
 生まれたばかりの子どもは、甘いものが大好きなので母乳を摂って栄養を補給し成長します。また、苦いものは毒性が強いものが多いことからも「苦いものは、吐き出す・・・」ということで自分の身を守っています。

 これは、生まれた地域や民族によって大きな違いはありません。なぜならば、生命を維持し成長していくために必要な機能だからです。以前も説明させていただきましたが、「甘いものは別腹・・・」ということが起きてしまうのもの甘いものは生命を維持していくのに一番効率が良いということを、飢餓状態が続いていた原始の時代から遺伝子が記憶しているからなのです。

 高知大学医学部生理学講座の山口正洋教授によりますと、味覚に対して、嗅覚は先天的な要素よりは、後天的な環境や生活習慣などに関わる要素が大きいと説明しています。つまり、匂いの好き嫌いはその地域の文化や民族性、さらには個別の生活習慣などは大きく左右するというのです。

 一般的に、腐敗臭というのは多くの人が嫌いなのですが、これは身を守るためには重要な要素です。しかしながら、ブルーチーズを始め多くのカビ入りのチーズを好む人もいれば、好まない人もいます。これは、その地域の食文化と大きく関係しています。

 日本では、納豆やくさや、酒盗(鰹の塩辛)など外国方など食べ慣れない人たちには、少々苦手・・・というものがあるのも同じです。

 また、「おふくろの味」と言われるものや、野山や川などの「ふるさとの匂い」など、個人的な体験にもとづいた古い記憶は感情や情動と強く結び付いているために忘れにくいということなのだそうです。

 また、多くの方が経験があるかと思いますが嗅覚が食欲や食べ物の好き嫌いを大きく左右してしまうということも事実です。実際に、ピーマンが嫌いな子どもが鼻をつまんで食べて見るとそれほどでもなかった・・・というような事例は良くあることです。この事例については、「ピーマンの匂いが食欲を抑制している」と考えた方良いのだそうです。

 この匂いのもとは、難しい言葉で表現すると揮発性の低分子有機化合物と呼ばれ、約40万種のものが混ざり合って出来いるそうなのです。

 いずれにしても、「嗅覚は味覚よりもより大きく食欲に関わりがある」ということのようなので、そのことを良く知っておくことは大切なのかもしません。

 特に、アルツハイマーやパーキンソン病などの神経性疾患などでは早期から嗅覚異常が起きることが分かってきましたということです、また、高齢者なども嗅覚の機能が損なわれることで、食欲が落ちてきてしまい体力の低下や、病気にかかりやすくなるというような事もあるとされています。

 「食はチカラなり・・・」

今や、絶滅危惧種として心配されている「鰻」も、「店先の匂いに誘われ、お腹がすいてしまった・・・」という身体の反応も、健康を維持するための大切な機能の一つと考えるのが良いのかも知れませんね。




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Posted by toyohiko at 14:37│Comments(0)身体のしくみ
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