2017年09月22日
冬に多い便秘と食中毒

平成28年の厚生労働省の食中毒に関するデータを見てみますと、食中毒の年間患者数20,252人に対して、12月が3,379人と全体の16.7%を占めてトップになります。その内訳を見ていきますと、ウィルス性の食中毒が3,145人と90%以上を占めており、その一方で細菌性の食中毒患者については、143人とわずかな数字となっています。
この、ウィルス性食中毒はノロウィルスによるものです。
この傾向は近年になって、急激に変化してきたようで、アニサキスのような寄生虫による食中毒に関するリスクの上昇も同じ要因と考えられています。
このような要因として考えられてるのは、食品物流の進化です。今まで、出荷から納品までのリードタイムが大幅に短くなったり、冷蔵技術の進化によって、今や、日本中で「鮮度の良い、生鮮品」を口にすることが出来るようになったことです。
具体的に云いますと、鮭のルイベに代表されるように、今までいったん冷凍しないと食べられなかったものが、「生食」の状態で輸送され食べられるようになったことによって、食品全体の「生食」の割合が増えたことに起因しているのかもしれません。
その一方で、この12月というのは、「便秘薬の一番売り上げの多い月」ということもあります。
このことも、気温の低下もさることながら、風邪薬などの服用機会の上昇によって、腸内環境が悪化していることが大きな要因として挙げられています。
特に風邪薬の中には抗菌作用のあるものも多いので、その「抗菌作用」が良好な腸内フローラの形成にとって大きなマイナスにしまい、その結果、適切な排便がなされなくなってしまうことも多いのかと思います。
この食中毒と便秘に共通して言えることは、原因と結果の裏表はあるものの腸内環境が悪化しているということです。
そんな中、先ほどの、食中毒に関しても罹患率100%ではないということも、良く知られている事実です。食中毒などの消化器系感染症の予防には、「付けない」「増やさない」ということが大切であることは云うまでもありませんが、食中毒の原因において「不明」と「食事は特定できたが、原因となった食品までは特定できない」を合わせると、65.5%ということからしても、感染症にかかり難い強い身体を作ることも大切なような気がします。
そういった意味でも、感染症や便秘が多いと言われる冬こそ、免疫システムの60~70%が集まっていると言われる腸内の環境に気を配った生活習慣を取り入れることが、「冬を楽しむ」コツのような気がします。
そのためにも、良好な腸内フローラを保つための良い菌を積極的に取り入れたり、良い菌を育てるための食物繊維などが多く入った食品を意識して食べることも大切だと思います。
Posted by toyohiko at 16:21│Comments(0)
│身体のしくみ