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2017年09月30日

人間は何故、適正な食生活が出来ないのか

人間は何故、適正な食生活が出来ないのか


 多くの皆さんは、「食事」というものに対して、「美味しく食べたい」という一方で、「健康のためにも、控え目にしなければ・・・」というような、様々な思いの中で、いろいろ葛藤を抱えている人は非常に多いような気がします。

 これらの多くは、食欲を思うようにコントロールできないという悩みにもなっており、ついつい食べ過ぎてしまった結果としては、「肥満」ということになりますし、その反対に、「拒食」という症状が出てしまうこともあります。

 この「肥満」と「拒食」、は食に関する行動が適正にコントロールすることが出来るのであれば、多くの方が悩まずにいられるのですが、「どうも、そうはいかない・・・」というのが現実です。

 群馬大学生体調整研究所代謝シグナル解析分野の佐々木努准教授によりますと、食に関する行動は、多くの要素が複雑に絡んでいるために良く分かっていないことも多いということなのだそうです。

 例えば、「肥満」に関しては、「欲求を抑えられなかった結果・・・」というと必ずしもそうでもないということもあるのだそうです。

 アメリカでの実験で、肥満の人の満腹感について調べたところ意外なことが分かったというのです。
 この実験では、スープ皿に細工をしていくら飲んでも無くならないようにし、「満腹になるまで飲んでください。」といったところ、いくら飲んでもスープを飲む続けたそうです。そこで、被験者に満腹になるのはいつかという質問をしたところ、「スープ皿が空になったら・・・」という答えが返ってきたそうです。

 この結果から、「視覚情報が食欲に大きく関係しているということ」と、「食べた量を感じるメカニズムに何らかの障害が起きていること」によって、食欲をコントロールすることが出来なくなったということを示唆しており、実際に、肥満の方の一部には、末梢からの情報が中枢に伝わりにくいために血中のホルモンが到達しにくいなどの症状がみられるケースも少なくないそうです。

 また、脳内の報酬系につながる神経回路が優勢に働き過ぎることによって過食になる場合も少なくありません。

 現代の様な、ストレスの多い社会に於いては、「ストレスのはけ口」として脳内の報酬系を刺激することでバランスを取ってしまうケースは多くみられる現象の一つと言われています。

 特に、スイーツを中心とした精製度の高い糖質系は脳の直接のエネルギーになるために、「脳の快感」として脳の神経回路が認知してまうことで、食欲のコントロールに以上をきたしやすい状況を作り出してしまいます。

 更に、「肥満」の場合は特定の栄養素を求める傾向がみられ、脳を中心として神経回路も併せてそのメカニズムの解明も必要だとされています。

 一方で、「拒食症」という症状があります。思春期の女性に圧倒的に多いとされていますが、「拒食症」の方の場合はカロリーの高いものを食べたがらない傾向があるようですが、これは甘いものや脂肪に対して味覚異常や味覚情報などの伝達異常ではないことが分かっている一方で、ストレスや対人関係から来るマイナスの影響などが複雑に絡んでいるために原因が分かりにくい症状の一つとされています。

 拒食症の初期は、食欲がないのではなく食べたいという自分の欲求に打ち勝った快感を覚えることにより、更に「体重が減った」「頑張った」という周囲からの言葉に反応して「食べる」という身体の欲求に事えることを優先しないという現象から入るケースは少なくありません。

 この「肥満」と「拒食症」の両方に言えることは、脳が快感を覚える報酬系のメカニズムが大きく左右することで、行動を大きく左右するという要素が大きいのでは・・・という考えがある一方で、昆虫などに見られるように、「腸内細菌が食物を消化する過程で産生する物質が食の嗜好を左右している可能性についても考えられる。」など、食に関する行動については複雑怪奇なのかもしれません。

 とはいえ、「脳の報酬系への刺激」や「腸内細菌」の関わりの可能性があるのであれば、脳腸相関の観点からも、ストレスなく腸内環境に配慮することが「健全な食生活」につながるのかも知れません。





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Posted by toyohiko at 13:23│Comments(0)身体のしくみ
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