2019年05月11日
身体の不調を炎症という視点で考える

春先から初夏にかけての季節は何かと身体に負担がかかり、「体調不良」を訴える人も多い季節です。「五月病」などといわれる身体の「だるさ」や「やる気が出ない」というような症状もこの季節に多く見られます。
このような不調の原因として考えられるのは、三寒四温も含め気圧配置が安定しないために、一日における寒暖の差が大きかったり、学校を始めとする多くの事業年度の節目という事もあり、社会的な環境の変化が大きいなど、ストレスが普段より多くかかりがちであるということなのでは、と言われています。
また、花粉症も含めたアレルギー症状が多いのもこの季節になります。これは、アレルギーの原因物質である花粉の量に関わってきますので、人によって異なるという事になります。
アレルギー症状が免疫システムの不具合からくる炎症反応であることは、以前から言われていましたが、近年では、肥満や心筋梗塞、動脈硬化、さらには認知症に至るまで様々な炎症反応がきっかけとなっているという事が示唆されてき始めたのです。
動脈硬化や心筋梗塞についても、血管の内側にドロドロの成分が貯まるという認識の方も多いかもしれませんが、このドロドロの塊は口腔内にある歯垢などとよく似ていて単に悪い成分が固まったものではなく、その固まった状態に特定の細菌類が住処を作ってしまうために身体に対して様々ないたずらをしてしまうのです。
細菌類の住処ということですので、そのドロドロの中で何らかを摂取し、身体にとって慢性的な刺激を与えることで、いわゆる炎症と言われる状態を引き起こしてしまうのです。
例えば、歯周病菌の一番好みなのエサは血液です。歯周病による出血がそのためだと言われていますが、血液が好きなゆえに血液があるとどんどん増えて血管の中に入り込んで身体中を駆け巡ってしまうのです。
先ほどの血管内に付着してしまう、ドロドロ成分が出来る要因の一つとして歯周病菌が挙げられています。血管中に入ってしまった歯周病菌が血管に付着し傷をつけます。するとドロドロの物質が貯まり始めるというのです。
歯周病菌の話でいえば、口腔内でも血管の中でも同じような悪さをしてしまう、非常に悪い存在なのです。
また、肥満についても同じことで、単にカロリーの収支の差から脂肪細胞が増えてしまったということではなく、脂肪細胞自身に炎症が引き起こされた状態なのでその炎症が、様々な次なる疾病との橋渡しをしてしまうとされているのです。
そこで、近年注目されているのが、LPSなどの炎症物質の存在と、その増減が腸内環境と密接に関係しているのではということです。
マウスなどの実験では、従来あまり、良い菌として認識されていなかった腸内細菌であるバクテロイデス類の割合と炎症物質LPSの量が密接に関係している事が注目され、動脈硬化、心筋梗塞の症状が3割も減少したという結果もあるようです。
バクテロイデスについていえば、従来日和見菌とか中間的な菌と言われていましたが、近年腸内環境に対する研究が進み多くの人において最優勢菌群であると同時に単鎖脂肪酸の代謝に関係しているということで急速に注目を集めているという存在です。
当然、炎症を緩和するために効果のある存在ということであれば、「バクテロイデスを増やすには・・・」という気持ちもわいてくると思いますが、プレバイオティクスと言われる食物繊維をはじめとする難消化性のデンプン質や糖類を積極的に摂取したり、「良い菌を増やし、悪い菌を減らして、腸内環境を改善し・・・」という記述のあるような特定保健用食品もありますのでそのような食品を積極的に摂取していくことがいいかも知れません。
Posted by toyohiko at 15:40│Comments(0)
│身体のしくみ