2020年07月25日
虫歯とオリゴ糖

多くの人にとって、虫歯は嫌なものです。だからこそ、歯磨きなど様々な工夫をしながら虫歯にならないように気を付けている方は多いと思います。
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、口腔内の糖を利用してプラーク(歯垢)を生成し、歯の周りに吸着する性質があります。
ミュータンス菌が出すグルコシルトランスフェラーゼという酵素は、砂糖を原料を利用し、グルカンというネバネバの物質を作り出すことで歯に吸着し、自身を守るシェルターのようなものに作るのです。
これを歯垢といいます。
この歯垢の中で、唾液や様々なものから守られたミュータンス菌は、砂糖を原料にさらに酸を作り出し、歯の表面を溶かし始めることでう蝕が始まってきます。
このミュータンス菌は、「糖を摂取して酸を代謝する・・・」という性質があるので、お解りの方もいると思いますが、いわゆる「乳酸菌」の仲間です。
乳酸菌といっても、様々な環境で様々な働きをするものがおり、現在知られているだけでも数万種類もの乳酸菌があるといわれていますので、一言に「乳酸菌」といっても、色々なものがある・・・という認識も必要かと思います。
特に、ヨーグルトや乳酸菌飲料を中心とした「乳酸菌を利用した食品が虫歯の原因になる・・・」というような、話を耳にすることもありますが、そのような食品に含まれる乳酸菌そのものが、歯のう蝕の原因になるという事はないという検証報告をしているような事例もありますので確認が必要です。
乳酸菌の話はさておき、虫歯は虫歯の原因菌であるミュータンス菌、砂糖などのミュータンス菌のエサ、歯垢をまとってへばりつく歯・・・の3つの要素が揃うことによってリスクが高まることが解っています。
そこで、注目されているのが、ミュータンス菌が酸を作り出せない構造をしてる「代用糖」といわれるものです。
その代用糖として、よく知られているのが糖アルコールの一つであるキシリトールです。キシリトールはミュータンスなどの虫歯原因菌や肺炎球菌はエサにすることが出来ないだけでなく、摂取した時の代謝産物がこれらの細菌の増殖を抑え、死滅させる効果も期待されているため、食品や歯磨き剤に利用されているということです。
その一方で、過剰摂取によって下痢の症状が出ることも知られていますので注意が必要とされています。
その他にも、パラチノースなどのスクロース構造異性体やオリゴ糖もミュータンス菌が口腔内で酸をつくりだすことが無いという報告がありますので、通常の砂糖などを利用した食品と比較しますと、虫歯の原因にはなりにくいという事が言えます。
オリゴ糖のように難消化性という特徴が「糖として、大腸まで届く・・・」ことになり、口腔内でのう蝕の防止や血糖値の上昇の低下など様々な身体的な効果につながることも知っておくと良いかもしれまん