2021年02月13日
睡眠と腸内環境の関係を考える
古いアイルランドの言葉に「よく笑い、ぐっすり眠ることが最善の治療薬」という言葉があるそうですが、「よく笑う・・・」という事は、ストレスが無く楽しいという感情が優位になっていないとなかなかできないことであるという事は理解できると思います。
また、「ぐっすりと眠る・・・」という事は、まさに睡眠そのもので、この「ぐっすり・・・」という形容のなかに量だけではなく、質も・・・という意味が含まれているとしたならば、古くから睡眠の大切さはわかっていたという事になります。
その一方で、ストレス社会と言われる現代の社会の変化に伴い、世界中の人々の睡眠時間はどんどん少なくなってきていたり、「睡眠不足」という悩みを抱えている方が、後を絶たない・・・という現実があることも事実です。
こうして考えると、睡眠とストレスの関係は思っている以上に深いのかもしれません。
また、ストレスについて考えていきますと「ストレスを感じる・・・」という事を顕在化したり、ましてや実験などではなく体感的に定量化することは非常に難しいという問題もあります。
ストレスというものは悪いイメージばかりが先行してしまいますが、適度なストレスは「緊張感」と表現され、モチベーションにつながることもあります。言い換えれば、同じ状況下にあっても感覚的に負荷がかかっているという自認が人によって異なる可能性があるという事になります。
その一方で、ストレスによる不眠などの睡眠の質の低下については、認知されていることになりますので、「睡眠」の状況を見直すことが、自身のストレスの状況の把握や改善につながるのかもしれません。
睡眠不足によってもたらされる、身体への影響というものは、以前も申し上げたようにイライラなどの精神的な不安定や痛みに対する耐性の低下、食欲の増進のみならず、免疫系の衰え、脂肪の蓄積による肥満など・・・まだまだ、未解明のものの含めて数限りない影響・・・といえるような状況にも関わらず、あまり重要視されていないと言われています。
睡眠研究者で睡眠、睡眠不足、睡眠時無呼吸やナルコレプシーなどの睡眠障害の診断と治療の第一人者の、スタンフォード大学睡眠研究センター創設者ウィリアムチャールズデメントは、「睡眠を健全にしない限り、健康にはなれない」という言葉を残しています。
更に、近年では脳腸相関という考えかたによって、腸内フローラを健全に保つための食事などを意識することで、睡眠の質の改善の可能性についての多くの知見が報告されています。
例えば、幸せホルモンとしてよく知られるセロトニンは腸粘膜の腸クロム親和性細胞によって生成され、95%が消化管に存在すると言われています。そのセロトニンが体内に分泌されることで腸の運動が活発になります。
腸の運動を活発にするセロトニンが何故「幸せホルモン」と呼ばれるかという事も含め、セロトニンは、快眠ホルモンであるメラトニンの原料になります。
そして、健康な腸には脳の400倍以上のメラトニンが存在しており、腸の組織はメラトニンを生成する能力が非常に優れていることからも、睡眠の質を上げる第一歩として、腸内環境の改善は非常に有効な手段の一つといえるのかもしれません。
但し、以前にも言いましたように、腸を含めた消化器官は睡眠中に大蠕動も含めた腸管内の清掃と調整を行っていますので、いくら腸内環境を意識してプロバイオティクスやプレバイオティクスを積極的に摂取しても、「就寝前の食事の習慣」を見直さないと効果は発揮されない可能性があることも忘れないでいただきたいと思います。
Posted by toyohiko at 15:34│Comments(0)
│身体のしくみ