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2021年03月12日

加齢と睡眠との関係を考える

加齢と睡眠との関係を考える


 「歳をとると、朝が早い・・・」というような話を耳にすることがありませんでしょうか。
 実は、加齢によって長い時間の睡眠を必要としなくなることが解ってきています。例えば、10代では平均で8時間を超える睡眠が必要としていることに対して、40代では6時間半、80代になると5時間半というような研究結果もあります。
(健康づくりのための睡眠指針2014~ 睡眠12箇条~に基づいた保健指導ハンドブック P.52
) 
 
 その一方で、東京医科大学 井上雄一教授によりますと、一般の人たちの睡眠に対する悩みを持つ人の割合が2割程度であることに対して、高齢者になると睡眠の悩みが3割にまで増加していることが解っています。

 実際の「睡眠に対する悩み」は、なかなか寝付けないという「入眠障害」、途中で何度も起きてしまうという「中途覚醒」、どうしても朝早く起きてしまうという「早朝覚醒」の3つのタイプがあるとされておりますが、多くの場合この3つの症状が重複し、悩みが大きくなってしまうことが多いようです。

 特にリタイアメントしたことによる「生活習慣の乱れ」や活動量の低下、加齢によって生じるストレス耐性の低下からくるメラトニン生成力の低下など、睡眠の質の低下につながる多くの要因も含めて、それぞれのタイプについて考えてみたいと思います。


 まずは、「入眠障害」ですが、入眠障害はストレスによって起こることが多く、高齢者になるとストレス耐性が低下し、影響を受けやすいと言われています。さらに特徴的なのは、「寝付けないための焦りによるストレス」で眠れない人も意外に多く、無理に寝ようとしない・・・事が大切と言われています。

 具体的には、「遅寝早起き」の実践を心掛けることで、解消するケースも多いそうです。

 この「遅寝早起き」はどういう事か・・・?といいますと、「眠くなるまで、布団に入らない」ことで、「寝なくてはいけない」というストレスを軽減することと、朝起きる時間をしっかり守っていく事で体内時計の調整を行っていく効果があるのです。

 その一方で、思春期から20代までは夜型化しやすく、なかなか寝付けない等の睡眠の質の低下がみられるケースがありますが、その原因の多くは電子機器から発するブルーライトだとされています。このブルーライトの影響については、大人よりも子どもの方が影響を受けやすいことを知っておく必要があります。
 
 理由として、子どもの方が、瞳孔が大きいために大人の2倍もブルーライトの影響を受けてしまいます。対策として推奨されているのが、液晶などの電子機器画面は就寝2時間前までとし、寝床にスマートフォンなどを持ち込まないことから始めてみると良いかと思います。

 とはいえ、大人が、「寝床に持ち込んでいる・・・」というようになると説得力もなくなってしまいますので、まずは、周りの大人が実践して示すことからかもしれません。

 次に、「中途覚醒」ですが、ひどいと1時間おきに起きてしまうケースも少なくなく、特に高齢者の場合には、深夜にトイレに行ったりすることで転倒や骨折につながるリスクになる事を認識しておく必要があります。

 この「中途覚醒」も脳の視交叉上核にある体内時計の不調が原因の事が多いため、「朝一番の日光で体内時計を調整し、14時間~16時間でメラトニンが分泌する。」というサイクルを戻していく事が大切です。

 高齢になり社会的な生活から遠ざかることで、日中の活動量の低下・日光を浴びる機会の減少につながり、結果として体内時計の衰えとメラトニンの減少を招いてしまい、中途覚醒が起こりやすくなってしまいます。

 そのためには運動も含めた日中の活動量を増やすことと、意識して日光に当たる機会を増やすことに加え、入眠障害と同様に、「必要以上に布団の中に入らない・・・」ことを意識しながら睡眠の質をコントロールしていく事も有効です。

 また、睡眠時無呼吸症候群についても、高齢者では2割ほどと言われていますので、中途覚醒の原因になりますし、活動量の低下によってふくらはぎの筋肉の衰えなどが原因の「脚のむくみ」で下半身に溜まってしまった水分が、寝る体制になる事で、就寝時に全身に水分が周り、通常よりも多くの尿をつくり出してしまい「夜間頻尿」になるケースもあります。

 睡眠時無呼吸症候群は子どもの場合にも約2%ほどみられるという報告がありますが、質の悪い睡眠によって成長ホルモンの分泌が阻害されるので見過ごさないようにすることも大切です。

 最後に、「早朝覚醒」ですが、「体内時計のリズムが早まり過ぎてる」事が考えられますので、「日の光を浴びる時間をカーテンなど利用して調節する」ことや、朝の散歩が習慣の人は「サングラスを利用する」ことも有効なようです。
予定時間よりも早く起きてしまうだけ、と思うかもしれませんが、同居してる人同士の人間関係を損ない、熟年離婚につながるケースもあるというような話もあるようなので、改善が必要かもしれません。

 いずれのケースも、体内時計の乱れが原因となっていますが、睡眠の質の低下がもたらすマイナスの影響が多いことは解ってきていますので、脳腸相関を意識した食事も含めて出来ることから実践していく事が大切かもしれません。

 最後に、休日の寝だめは、体内時計が乱れ易く「社会的寝ぼけ」とも言われていますので、あまり良くないようですのでご注意を・・・。






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Posted by toyohiko at 17:38│Comments(0)身体のしくみ
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