2022年01月28日
肌のかゆみについて考える

冬になると、「肌がカサカサになる・・・」というような経験をお持ちのかたも多いかと思いますが、カサカサと同時に嫌なのが「かゆみ・・・」です。
「たかが、かゆみ・・・」と思うかもしれませんが、「いつも、ムズムズする・・・」とか、知らず知らずのうちに、搔きむしってしまい・・・肌が赤くなったり、ひどい場合には出血を伴なうケースもあります。
結果的に、QOLにも大きな影響を与えてしまうために「見過ごせる範囲を超えている・・・」と思っている方も少なくないと思います。
「かゆみ」のメカニズムについては、未解明の部分も多いと言われていますが、少しづつわかってきたようです。
多くの「かゆみ」は、異物が侵入してきたときの免疫反応による炎症です。
虫刺されによる「かゆみ」などはその典型で、刺されたときに一緒に入ってくる異物に対する免疫反応になりますので、その異物をポイズンリムーバーなどで吸引したり、昆虫の場合は酸性の異物を注入することが多いこともあり、アルカリ性の薬剤などで中和することで、免疫に反応する抗原の量を減らすことが有効だったりするのは、この為です。
また、アトピー性皮膚炎のように慢性的なかゆみについても、異物が体内に侵入してきたときに攻撃するための免疫反応が過剰に起こってしまうために、皮膚のバリア機能の低下に結びついてしまうケースもあります。
浜松医科大学皮膚科学講座の本田哲也教授によりますと、このような免疫反応は、「2型免疫反応」と呼ばれ、神経伝達物質のサイトカインが、かゆみ、皮膚の乾燥、皮膚の炎症に大きく関わっており、「掻きむしり」などによって、神経伝達物質をさらに発生させて知覚神経を刺激し、さらなる「かゆみ」を引き起こすとされています。
言い換えれば、「掻きむしる・・・」ことで、肌のバリア機能が壊れ、炎症を誘発するという「かゆみ」の悪循環に陥ってしまうのです。
この悪循環をつないでいるのが、神経伝達物質のサイトカインの一つであるIL(インターロイキン)-4やIL-13ということになりますので、アトピー性皮膚炎などの慢性的なかゆみに悩んでいる場合には、これらをブロックするような治療法も進みつつあるようです。
虫刺されなどの、原因が明確な場合については慢性症状につながるようなことは少ないかとは思いますが、免疫システムの異常による慢性炎症からくる「かゆみ」は、当人にとってはつらいものになります。
本田哲也教授は、「ストレスがかゆみに多大な影響を与える・・・」とも述べていますので、身の周りにある様々なストレスが、かゆみの原因になっている可能性も考える必要があるのかもしれません。
仕事や家庭の様々な問題を始め、人間関係、新型コロナウィルス感染症に関わる社会への不安、寝不足などから起因するストレスは、避けようのないものなのかもしれません。
また、寒暖差などの自然環境の変化も身体的ストレスの一つになりますので、出来る限り、精神的及び身体的な負担を避けストレスの軽減をすることで、悪化を防ぐことにもつながります。
そのためには、ストレスが軽くなるような「自分なりの気分転換につながる依存先」を大切にするとともに、脳腸皮膚相関という言葉があるように、お腹の健康からストレスの軽減につなげたり、腸内環境の改善というアプローチによって免疫調整作用のアップを意識することも良いのかもしれません。
Posted by toyohiko at 09:11│Comments(0)
│身体のしくみ