2022年02月12日
春に気になるアレルギー症状を考える

春が近くなると、啓蟄とともに寒い冬の季節を乗り越え、開化の準備をしている様々な花の蕾が、あちこちで目に付くようになります。
確かに、花は多くの人たちの気持ちを和ませたり、明るい気分にさせたりと人々の暮らしにとっても多くのプラスをもたらします。
その一方で、その花が放つ花粉によって、様々な症状で苦しんでいる人がいることも事実です。
日本医科大学医学部耳鼻咽喉科学の松根障志教授によりますと、現在ダニやハウスダストをアレルゲンとする通年性アレルギー性鼻炎と花粉症と合わせると日本人の半数以上がアレルギー性の鼻炎の症状に悩んでいると考えられています。
また、10代から上の世代になると花粉症の症状の割合が多くなりますが、なかには両方の症状で悩んでいる人もいるそうです。
この二つのアレルギー性鼻炎は、それぞれの抗原に対してつくられた特異的IgEという抗体が身体を防御するために、鼻粘膜でアレルギー反応を起こしてしまう現象で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの三大症状が起こってしまいます。
また、異なるメカニズムによって同じような症状になってしまうケースもあると言います。その代表的なものが、「血管運動性鼻炎」や「加齢性鼻炎」と呼ばれるものです。
血管運動性鼻炎は、朝夕の寒暖差や環境の変化によって自律神経が不安定になって起こる鼻炎の症状です。この場合は、アレルゲンに対して抗体が反応しているわけではない為に、アレルギーの検査をしても抗体が検出されません。
もう一つの加齢性鼻炎ですが、くしゃみや鼻づまりなどの症状はなく、鼻水のみの症状なのが特徴です。
これは、鼻粘膜でアレルギー反応が起きているのではなく、加齢により鼻粘膜が薄くなり加温加湿機能が低下することが原因と考えられています。
通常は、呼吸するときに吸った空気は鼻腔内で加温加湿されます。その時、空気に含まれる水分が鼻粘膜で結露するのですが、鼻腔内の水分を保持する力が衰えてしまうことによって水分が鼻水のように垂れてきてしまうというのです。
若い方でも、冬場にラーメンを食べた時などに鼻水が出てきてしまうような時があると思いますが、水分が過剰に結露した状態で、同じ原理によるものなのだそうです。
この加齢性鼻炎の厄介なのは、血管運動性鼻炎と同様に一年中を通して症状が出てしまうためにQOLに対する影響が思いのほか大きいということです。
「鼻炎の症状・・・」と言っても、原因は様々になりますので、当然のことながら対応も異なります。
アレルギー性鼻炎の場合は、投薬などによるアレルゲンに対する対応だけでなく、自律神経や身体全体の免疫調整機能を高めるための食生活を心掛けることも有効な手段の一つとして関心が高まっています。
また、花粉症の場合については、食物アレルギーとの関連性も近年注目されていますので、場合によっては鼻炎を抑えるというような対処療法だけではない方がいいのかもしれません。
さらに、通年性の血管運動性鼻炎や加齢性鼻炎の場合については、メカニズムが異なるためにアレルギー性鼻炎の薬物療法では効果がないことを理解しておく必要があります。
これらの症状についても、足湯などで足を温めることで鼻腔内の温度を上げることや、鼻うがいによって鼻腔内の潤いを保つ効果が得られるというような研究もあり、継続的に行うことで効果があるという報告もされています。
このように、一つの症状であっても原因が様々であり、その原因にあわせた対処方法があるということも知っておくといいのかもしれません。
Posted by toyohiko at 10:50│Comments(0)
│身体のしくみ