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2014年06月28日

スギ花粉と花粉症

スギ花粉と花粉症

 「花粉症」という症状に悩まされている方は、身の回りに沢山いると思いますが、最近特にそのような症状を訴える方が増えたような気がします。
 ご存知の方も多いように、「花粉症」というのはアレルギーの一種で、外部から侵入した外敵に対する、免疫反応が過剰になり自分自身を攻撃してしまう反応の一つです。

 その代表選手として、春先になると多くの方々が不安になりテレビの天気予報の一部で情報を確認するほどになっているものが、「スギ花粉」です。当然、情報を見て「いやだな・・・、今日は気をつけないと・・・」とマスクなど準備をしていく人も少なくないと思います。

 これらのことからしても、当然、この場合の花粉症の犯人は「スギ花粉」ということになりますが、本当にそうなのでしょうか・・・?と思う人もいるようです。

 その疑問に答えるような調査が、1985年に古川日光総合病院の小泉一弘院長(当時)が行われたようです。調査は、当時の日光市と今市市の3,133人を対象に、居住地域を、自動車交通量が多く渋滞の激しい「杉並木地区」、杉は多いが交通量は少ない「杉森地区」、その他の「一般地区」に分類し、花粉症の症状と地域の交通量との関係を調べたというものです。

 通常、花粉症の原因がスギ花粉ということであれば、杉の多い「杉森地区」のほうが、花粉症の発症数が多いということになるのですが、予想に反して、花粉症の発症との相関が一番高かったのは、地域の交通量だったという結果が出たのです。

 このような調査は、疫学調査と言い統計的な手法を用いて関係性を導くようなやり方のため、結果の賛否について疑問に思う方もおられるかと思いますが、この調査をもとにさらなる研究結果も存在するのです。

 その研究も同じ年の1985年に東京大学物療内科の村中正治助教授らによって行われ、「日本医事新法」で発表されたものなのですが、マウスにスギ花粉のアレルゲンを注射し、アレルギー反応の抗体であるIgE抗体がどの程度できるかを調べたものです。

 ほとんどのアレルギー反応に、IgE抗体は関わっているために、この抗体の状態を調べることで、アレルゲンとの関係が解明できるという研究です。
この研究によるとスギ花粉のアレルゲンを投与してもIgE抗体は確認されず、スギ花粉と併せてディーゼル微粒子(DEP)を投与した時には、IgE抗体が確認され、さらにスギ花粉を減らした場合においてもディーゼル微粒子を併せて投与した場合では同じ結果が出たというものです。

 これらの、ことから考えるとスギ花粉だけが悪いのではなく、そこにディーゼル微粒子が加わることによって花粉症が発症するという可能性が示されているということになります。

 このような、ことからすると乗用車のディーゼルエンジン比率の高い欧州地域は、花粉症が多いということになってしまいますが、単純にそうでもなさそうです。ディーゼルエンジンの話だけでいえば、いかにきれいな廃ガスを出すということだけではなく、燃料そのもの不純物の除去などの基準が国などによって違うために、結果的にエンジンの排ガスに対する基準が異なってしまう。というような話も耳にしたことがあります。

 いずれにしても、現代の多くの人が苦しめられている花粉症・・・、単純に花粉だけが悪いのではなく、人間社会によって引き起こされた状況に大きく関係しているということは、どうやらありそうな気がします。

 花粉症の苦しみから逃れる方法として、治療などの方法以外にできることがありそうな気がしませんか・・・?




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Posted by toyohiko at 15:39 │身体のしくみ