2014年04月19日
入浴と免疫の話

昔から、「風呂に入って死ぬ人はいるが、風呂に入らないで死んだ人はいない。」などという話を聞きますが、日本人にとって入浴は、健康のためとか衛生面の話だけでなく「楽しみ」の一つでもあるために切っても切れないものになっています。温泉旅行などはその典型的なものだと思います。
また温泉ともなれば、湯治と呼ばれるようにいろいろな効果を期待して入るのですが、今回は、普通の入浴に対する健康・・・特に、免疫との関係について考えてみたいと思います。
入浴による身体に対する、影響と言えばお湯による温浴効果と湯船につかることによって発生する水圧によるマッサージ効果になると思います。
最近、低体温症という症状の話を耳にすることが多いですが、身体の免疫活性と体温には相関関係があり体温が低い人は高い人に比べて免疫活性が低いということになるそうです。
実際、身体の具合が悪くなって発熱する場合なども、菌やウィルスが発熱を促しているのではなく、侵入してきた菌やウィルスを排除するために身体が発熱し闘っているのです。
一説によると、発熱によるエネルギーに集中するために、活動的な状態のまま、発熱をすると体力の消耗があまりにも激しくなってしまうために、だるさなどを感じ、安静にしておくようにできているという話も聞いたことがあります。
そういった意味では、体温と免疫というものが非常に密接に関係しています。しかし、先ほどの低体温症のひとや何らかの原因で身体が冷えてしまった場合などは外部からの刺激によって体温を上昇させてあげることも有効です。
特に、平熱が低い低体温症の人の場合については、もともとホメオスタシスという体温を一定に保つ性質があるために急に体温が上昇するということは難しいのが現実からいても外的な刺激=入浴ということになるまもしれません。
さらに、お湯につかることで、「熱い」というストレスがかかり、ヒートショックプロテインと呼ばれるタンパク質が増えることが次第に分かってきました。
このヒートショックプロテインは、細胞のタンパク質が傷ついたときに修復したり、免疫力を高めたりする重要な役割をしています。癌細胞も43℃を超えると死滅するといわれていますので、身体を温めるということの効果はよくよく考えると思った以上にありそうです。
そういった、意味では入浴による温浴効果は身体の表面をきれいにするだけではなく、しっかりと身体を温めることによって免疫活性を高め、体内に侵入した菌やウィルスを排除し身体の奥深くもきれいにするということも言えるような気がします。
Posted by toyohiko at 14:43
│身体のしくみ