2013年10月04日
赤ちゃんは、何故なんでも口に入れたがるのか

赤ちゃんといえば、「なんでもすぐに口に入れてしまう・・・」というイメージの強い方も多いと思います。また、そんな光景を目の当たりにした人たちは、「身体に悪いものでも、口に入れたら大変!」ということで、ヒヤヒヤすることもあると思います。
しかし、このなんでも口に入れてしまうという行為が生きていく上で、何か理由があるとしたらいかがでしょうか・・・?
動物の行動というものは、生き延びて行くための理由があるという考え方があります。そうして考えた場合の「なんでも口に入れる・・・」の理由の一つとして、自分の身体を外からの影響から守るということが言えるような気がします。
東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授は、「子供がアトピー性皮膚炎や喘息にならないように、落ちたものを拾って食べましょう・・・」と呼びかけているそうです。
藤田氏によると、人間という動物は生まれてすぐに自分の力で歩き出すことができません。最低でも10ヶ月立たないと自立歩行はできないということからしても、人間は10ヶ月の早産という考え方があるそうです。
生物学の世界では、生まれる前に脳が大きくなりすぎると動物は立ち上がることも歩くこともできないために、自然界で生きていくためにも不都合がたくさんあります。しかし、人間だけは、もともと脳が大きいこともあり、出産後約10ヶ月の間、ほかの動物に比べて未完成な部分の身体をつくっていくようなのです。
その「未完成な部分」の一つが免疫システムも含めた腸の機能です。
そうして考えると、パンダは、もともと笹を消化する酵素持っていないために、笹の消化酵素を分泌する腸内細菌を得るためにお母さんのウンチをなめ、さらに土を舐めていろいろな菌を体内に入れることで腸内細菌を増やそうとしているそうです。
これは、ユーカリを食べるコアラも同じことをしています。
人間も生まれたばかりの状態は、無菌状態だと言われてます。そのためにお母さんからもらう菌も含め、いろいろな菌を身体に取り入れることで、免疫システムも含め腸の機能をつくっていくようにできている・・・。と考えれば、「なんでも口に入れる」という行為は、赤ちゃんにとってごく当たり前の「仕事」なのかもしれません。
生まれてすぐアトピー性皮膚炎になってしまった赤ちゃんの40%の腸内細菌の中に大腸菌が全く見つからないということがわかっているそうです。
とはいえ、今では昔なかったような化学合成物質が身の回りにたくさんあるので、「なんでも口に入れても平気・・・」というわけにもいかないのが、現実です。
しかしながら、現在の日本をはじめとした先進国での様々なアレルギー発症の種類と数の多さからしても、「衛生仮説」という言葉もふくめ、食だけでなく、生活環境全体を考えてみることも大切かもしれません。
Posted by toyohiko at 13:10
│身体のしくみ