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2013年09月27日

ウィルスと血液型

ウィルスと血液型

 最近の研究で、「ノロウィルスには、お気に入りの血液型があるらしい」というような考え方があるらしいという話があります。
 例えば、「血液型O型の人に発症者が多いとか、家族のなかでA型の母親と子どもには発症するが、B型の父親は症状が出ないというような傾向がある。」というようなことがあるようなのです。
 
 北海道大学大学院工学研究員の佐野大輔准教授のグループの研究によると、ノロウィルスは、特定の血液型抗原様物質を標的物質として感染しているらしいのです。

 この、血液型抗原様物質というのは、名前にあるように人間の血液型を決める物質です。
以前からも、「血液型占いは、信じるべきか・・・?」という議論のなかで、血液型そのものが、本来抗体物質からできており、言ってみれば免疫型そのものなので、あながち性格と関連性がないとは言い切れないという話は紹介していますが、どうも、ほかのことも血液型と関連しているらしいというのです。

 ノロウィルスといえば、冬の食中毒として怖い存在ですが、住環境の変化に伴い暑さに弱いウィルスにとって1年中リスクを考えなければならないものになっています。
 その一方で、ノロウィルスの退治の方法や感染予防については決定的な予防法がないという現状もあります。

 今回の佐野准教授らの研究では、血液型決定抗原に対する抗体が血液中に分泌されることがあるのですが、その抗体の分泌の原因が腸内細菌であるということがわかってきたというのです。

 この仮説をもとに、ノロウィルスが好みそうな腸内細菌を探したところ、Enterobacter sp.SENG-6という菌株が血液型決定抗原に近いものをもっていて、ノロウィルスを捕まえることができる可能性があるというのです。
 また、この腸内細菌の研究をさらに進めていくことで、ノロウィルスの感染を抑制できる可能性が高まってきているということなのです。

 ノロウィルスに関しては、排泄物や嘔吐物を中心とした下水対策というのものが、大きな課題になっていますが、ウィルスいう微小なモノのため環境衛生において決定的な防御策は今までないとされてきました。しかし、今回の研究で発見された、腸内細菌を使って捕捉させるということで、環境中の予防対策にもつながる可能性があるともしてます。

 もともと、どんな感染症も「罹る人もいれば、罹らない人もいる・・・」ということは、現実にあります。
そのような疑問に対する答えの一つとして、腸内細菌の存在というものはますます欠かせないものとなっているような気がします。

 そういう意味でも、いい腸内環境を整えるための生活習慣を心がけることが大切ですね・・・!


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Posted by toyohiko at 10:46 │身体のしくみ