2013年06月29日
大豆と自動車王

大豆といえば、豆腐や味噌、醤油など日本人とは切っても切れない関係のある食品として、古事記にも大豆を食べたという記述があるくらい付き合いの長い存在です。
その大豆の、国内自給率が現在4%ほどしかないということも多くのひとがご存じのことかと思います。
単純に4%という数字を聞くと、「これは大変だ・・・」と思う人も多くいると思いますが、生産量を考えてみると史上最大の生産量だったと言われる大正9年の55万トンに対して、2008年の生産量は26万トンと、ほとんど作られなくなったというわけではないのです。
ということは当然、消費量が増えた・・・ということになるのですが、当時と比べて日本人が大豆製品をたくさん食べるようになったわけでもなさそう。ということは多くの人たちが想像すると思います。
ちなみに昭和22年に大豆の自給率97%という時期がありましたが、これは敗戦のため旧満州の大豆加工工場からの輸入が激減したために数字としての結果がこの様になっただけで、生産量そのものは17万トンと現在よりも少なかったのです。この様に、自給率という数字ばかり追っていてもあまり意味がないといいうことも言えると思います。
ところで、何故、大豆の自給率が減ったかといいますと、農業雑誌の編集者でもある浅川芳裕氏によりますと、日本人が油を大量に使うようになったからということと、味噌や豆腐などの加工をする立場からすると、外国製品の方が品質が良いという二つの理由があるとしています。
味噌や豆腐を作る立場の人からすると、「生産量が安定しない」とか、「海外産の方が加工特性が高い」「品質のばらつきがある」とい声もあるようです。
ところでなぜ、大豆との付き合いが長い日本よりも外国さんの方が良い、というような逆転現象が起きてしまったのでしょうか・・・?
その答えの一つに、かの自動車王ヘンリー・フォードの存在があるというのです。
ヘンリーフォードには、自動車製造のかたわら、「人類完全食の実現」という夢があったようです。そして当時、親交のあったトーマス・エジソンの研究所で色々と調べた結果、大豆にたどり着いたそうです。
当時フォード氏は、食べ物としての豆乳や大豆クッキーだけでなく、燃料の原料、大豆の搾りかすの繊維質をつかい、プラスチック繊維を製造するなど、自動車で稼いだお金を大豆につぎ込んだといわれるほど大豆に入れ込んでいたそうです。
当時のフォードでは、「自動車部品の10%を大豆だけからつくる」ことを目標にしていたとさえいわれ大豆の特性や栽培方法に至るまで徹底的に研究したと言われてます。
ひょっとすると、現在の状況は、大正時代についてしまったこれだけの差が未だ埋まらず・・・というのが現状なのかもしれません。日本では、大豆の搾りかすの「おから」が余剰になり、産業廃棄物扱いにするかどうかの裁判をしていたのが、つい数年前のことです。
食文化としても、歴史が古い大豆の現状がなぜこうなってしまったのか・・・これを考えることで、私たちの社会への課題も見えてくる様な気もします。
Posted by toyohiko at 11:50│Comments(0)
│社会を考える
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