2013年06月22日
匂いと微生物

これからの暑い季節、汗の臭いなどが気になりだす方も多いと思います。この匂い(臭い)というものは、日常生活の中で切っても切り離せないものであると当時に、人によって感じ方が違うという現実もあります。
多くの生き物にとって、匂いは自己防衛や生殖機能など大きな役割をしています。身近な例えでいえば、食べ物を食べる時に臭いで安全かどうかを確かめます。
これは、その生物にとって安全ではない成分が放つ臭いに対して、嫌悪感を抱くように脳が認知するように出来ていからだと考えられています。
つまり、人間が「腐ったもの」と認知しているものに対して、寄ってくるハエのような生物には、「腐ったもの」は生物的に害を与えないだけでなく、益を与えるものとして好んでやってくるということになります。
現実に、一部のキノコでは、クレバと呼ばれるウンチのような臭いを発する物質に胞子を一緒にすることで、ハエに胞子を運んでもらうものもあります。
人間の場合は、乳酸菌が糖質などを分解した甘酸っぱい匂いについては良い匂いと判断しますが、タンパク質や脂質を分解する通称腐敗菌と呼ばれる菌が発する臭いは嫌な臭いを思いますし、ニトロソアミン等の発ガン性物質を発生する腐敗菌もあります。
このように、口に入るものに対して安全かどうかを確認するための臭覚については、ほとんどの人が同じ物差しなのですが、生殖や感情に関わるものは、どうやらそうはいかないということらしいです。
体臭についても、異性については遺伝子的に遠い人の方が良い匂いと感じるように出来ているようですし、さらに血縁関係にある異性の臭いも第二次性徴が始まるくらいから嫌な臭いと感じるように出来ています。
この典型が、娘の「お父さん臭い・・・」ということ発言に結びついているということになります。
さらに、ホルモン的にいえば、思春期のほうが分泌量が多いので、いわゆる匂いのもとはたくさん出ています。しかし、その年代は免疫力が高く、皮膚常在菌叢もしっかりしているために皮膚上にある悪玉菌がいたずらして、嫌な臭いが出るということが少ないためだとも言われています。
逆に、加齢臭と言われるものも、加齢により免疫力が低くなることで匂いを発する。ということからしてもストレスなどの日常的な免疫活性の変化で臭いの発しかたも違ってくるということが考えられます。
さらに、アロマテラピーのように臭いによって感情をコントロールするような考え方もあります。これらのことからしても、匂いに対する感じ方は同じ匂いでも随分違うということがどうやらおるような気がしてなりません。
「夫のおならが臭い・・・」のか、夫が出すから「おならが臭い・・・」のかは、パートナー間での関係性に大きく関わってしまうのかもしれません。
そうはいっても、おならの臭いは腸内環境の大きなバロメータになっていますので、お互いに冷静な判断が出来るような関係性も大切なのと同時に、お腹の中をはじめとする多くの微生物との共生関係も大切にしていかなければいけませんね・・・
Posted by toyohiko at 12:22│Comments(0)
│身体のしくみ
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