2013年03月30日
アルコール性肝障害と腸内細菌

アルコール性肝障害というと、「ついついの飲み過ぎ」による肝臓への負担を「ついつい、続けてしまった」結果なってしまうことが多いと思います。大げさな話だと思う方もいるかと思いますが、軽く考えいると大変なことになってしまいます。
すでに、ご存じの方もおられると思いますが、アルコールの多飲による肝臓への影響は、脂肪肝から肝炎さらに肝硬変などの命にかかわる病気にも関わる重大なことになる場合もあります。
一般的には、1日にビール大瓶3本、ウィスキーの水割りを6杯(女性の場合は3分の2の量)を5年以上続けるとアルコール肝障害が発症すると言われています。
また、日本人の場合は、アルコールを分解する酵素がほかの人種の人たちに比べて少ないという話もあります。
また、アルコールを飲まない日をつくるという休肝日についても「お酒を飲める人の場合は、飲まない日をつくるよりも、1回の量を気をつけるべきという話も最近あるようなので、アルコールの量については個人差があるということを忘れてはいけません。
ただ、個人差といっても「自分にとって都合が良いように解釈をしない・・・」ということに気をつけなければなりませんので注意が必要です。
このアルコール性肝障害というのは、腸内の大腸菌などが産生するエンドトキシンという毒素がアルコールの影響で腸の粘膜の透過性が高まり肝臓への流入が増加してしまうことにより発症してしまうそうで、実際に肝臓のエンドトキシンの陽性率は、脂肪肝の人で20%程度、重症アルコール肝障害の人の場合は70%にも上るという結果も出ているようです。
皆さんも、経験のある方がいると思いますが、「飲みすぎた次の日に、下痢をしてしまう・・・」というのも、処理しきれなくなった腸内のアルコール濃度を、下げようとして身体の中にある水分を腸の中に、集めることによって調整ています。その結果、下痢という形で体外にアルコールやアルコールの多飲によって産生した有害物質を体外に排出しているという話もありますので、アルコールの摂取によって腸粘膜の透過性が高くなることは自己防衛の一つともいえます。
これらの、話からするとアルコールと腸粘膜との関係性が高いことは、理解していただけるのではと思いますが、久留米大学医学部消化器内科部門の光山慶一准教授が乳酸菌シロタ株を用いて、肝臓の炎症反応とのかかわりを研究していますので、ご紹介します。
ここでは、37例のアルコール性肝障害の方に乳酸菌シロタ株の入った飲料を2週間継続引用し、その結果を4週間にわたって経過を分析したものなのですが、37例のうち19例が実際には乳酸菌シロタ株の入っていないプラセボ飲料を飲用してもらい比較したそうです。
その結果、乳酸菌シロタ株を飲用した人たちの方が腸内環境の正常化によって、腸管のバリア機能が回復し肝臓の炎症反応の改善が見られ、有用な腸内細菌を摂取して腸内環境を整えることがアルコールの身体に与える影響にも有用である可能性も出てきたということです。
最近では、「腸は第二の脳」というばかりではなく、脳内伝達物質の産生そのものも腸が直接かかわってきているというような話も耳にします。
これからは、ますます腸の重要性に注目が集まるかもしれません。
Posted by toyohiko at 12:29│Comments(0)
│身体のしくみ
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