2013年03月23日
湿度とインフルエンザとアレルギー

今年は、インフルエンザ等の上気道感染症が猛威をふるいましたが、じつはこれらの上気道感染症のリスクというのは、1年中あります。
そんな中、「インフルエンザ対策には湿度を上げることが有効である。」ということを良く耳にします。実際に、厚生労働省のHPでも「インフルエンザ対策には加湿が有効」というような記述があります。
しかし、お国柄でしょうかアメリカのCDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)では、加湿がインフルエンザ対策になるというような記述は無いそうです。
そもそも、湿度とインフルエンザとの関係は1960年代にアメリカのハーバーという学者が、湿度とインフルエンザとの関係を調べる実験を行い、湿度が50%以上でインフルエンザウィルスの生存率が急激に減少し、湿度が35%以下ではしばらく生存しているという結果が報告されたことが基になっているとされています。
現に、日本でも建築衛生法で相対湿度の管理基準を40~70%と定めています。
単純に、加湿をすれば良いということで良いのでしょうか・・・
デンマークなどでは、逆に加湿をしないようしているようです。当然のことながら気候的な条件は、日本と欧州では逆といわれるほど環境が異なりますので一概にどちらが良いかということを言えるようなことはありません。
しかし、学校やオフィスを含めた住環境という視点で考えればある程度、同じ観点で評価していくべきところも多いのではと思います。というのは、先進諸国においての住環境を考えると、昔と異なり機密性が非常に高くなったということがありますし、ほとんどのところがエアコン等の空調施設が整っています。
つまり、昔のような隙間だらけの住環境とは気にすべきところが次第に変わってきたということになるのではと思います。
実際に、湿度が高くなりすぎると結露が生じて壁や壁内部にカビなどが発生しやすい環境になります。また、オフィスなどでは湿度や省エネを優先するあまり換気を少なくする傾向があります。そのためにどうしても、空気そものもが滞り、室内空気の悪化を招いてしまうということにもなりかねません。
過剰な加湿は、じめじめが続きカビなどが発生し、喘息やアレルギーの原因にもつながります。また、ハウスダストと呼ばれるような物質の中にも、ホルムアルデヒドのように喉の渇きや、「乾燥している」と思うような感覚を引き出すものがあります。そんな時にさらに加湿をしてしまえば、さらに悪い環境を作り出してしまうことにもつながりかねません。
自分が普段、過ごしている住空間の特徴をよく理解したうえで適度な湿度のある環境を保つことが健康に繋がるのだと思います。
前出のハーバー氏の研究からすれば、湿度は50%あれば充分・・・ あとは、喉の渇きに合わせてこまめに水分補給することの方が良いのかもしれません。
Posted by toyohiko at 11:24│Comments(0)
│身体のしくみ
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