2013年01月19日
激しい運動と免疫力の低下

アスリートにとって、体調管理というものは最も重要なもののひとつです。特に怪我もそうですが、最高のパフォーマンスを引き出すためにも病気に罹らないということも常に神経を使っていなければなりません。
とくに、風邪やインフルエンザなどの上気道感染症と呼ばれる呼吸器系の感染症は、アスリートの中で、最も多くみられる感染症の一つだと言われています。
特に運動負荷と上気道感染症とのリスクの関連を調査した研究もあり、軽度の運動に比べて、中程度運動量の場合は感染リスクは低下するが、運動負荷が中程度から高負荷になるにつれて感染リスクが上昇するという結果がJ-shaped modelという形で報告もされています。
実際に、1987年のロスアンゼルスマラソンの完走者2,311名を対象に行った調査によりますと、風邪やインフルエンザなどの症状を訴えた人の割合が12.9%と、当日病気以外の事情で不参加だった人たちの2.2%に比べて約6倍という結果も出ています。
このことは、長時間の激しい運動が免疫機能を低下させることによって起こるのではと言われています。特に90分を超える激しい運動では、使用可能な血中の糖および筋グリコーゲンが低下し、様々なストレスホルモンが増加することにより免疫機能を低下させ感染リスクが増大しているとされています。
このほかにも、アスリートが抱える問題としては胃腸障害があり、腹痛、腹部不快感、、吐気、嘔吐、下痢などが発症しやすい症状だと言われています。
また、アスリートたちは運動による免疫力低下だけではなく、身体的、精神的、環境的ストレスや不規則な食事、睡眠不足など様々な免疫機能に抑制的に働く要素が日常生活に関わってきます。
アスリートに関わらず、これらの要素に対して心当たりのある方も多いかと思いますが、インフルエンザ等の感染力が強く、場合によっては重度の症状が出るような上気道感染症等は、選手であれば試合欠場や、仕事をしているであれば出勤停止など、社会的にも不都合な面が多く出てくるような社会環境になってました。そのためにも、その予防や罹患期間の短縮は皆さんが望んでおられるのだと思います。
そんな中、ラフバラ大学運動性化学部門のM.グリーソン教授によると、同校の運動部員(自転車、トライアスロン、中・長距離走、水泳、サッカー、ラグビーの7種目)84名を対象に乳酸菌シロタ株の入った飲料の継続摂取による上気道感染症の発症率の調査を行った結果、重症度や症状の期間に対して優位な差は無かったものの上気道感染症の発症率は優位に減少したとされています。
また、個々の調査項目を見てみると、自然免疫の代表選手であるNK細胞の活性や、ストレスで低下するIgA等の免疫抗体の低下が見られなかったことや、胃腸の不快症状の減少などが挙げられています。
社会的な立場や場面においては、「たかが風邪・・・」とは言えなくなってきている昨今・・・。
身近なもので、予防できるということであれば、是非試してみる価値があるかもしれません。
Posted by toyohiko at 12:31│Comments(0)
│身体のしくみ
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