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2012年06月23日

キノコは野菜か?

キノコは野菜か?

 スーパーの野菜のそばに並んでいるキノコ。
また、「野菜をたくさん食べましょう・・・」というフレーズとともに紹介される数々の野菜の中にあるキノコ。
果たして、キノコは野菜なのでしょうか・・・?

 一般的なイメージとしては、野菜に近いと思われがちなキノコですが、実は生物学的に植物という分類にも属していなく、菌類というカビなどの仲間に分類されるというのが正解です。

 植物は、光合成によって炭素化合物をつくり自らの栄養を確保することが出来ますが、キノコは光合成が出来ないために土や落ち葉、枯れ木などのなかに潜り込んで菌糸をひろげ栄養を取りながらひっそりと暮らしている生き物なのです。
生き物なので、当然繁殖をしなければなりません。菌糸から直接胞子をつくる種類のものをカビとよび、菌糸にためた栄養を子実体よばれる花のようなものをつくり胞子を飛ばす種類のものをキノコと呼んでいるのです。

 つまり、カビもキノコも本体は菌糸と呼ばれる糸状のこまかいもので、人間の目にあまり触れるようなものではなく、私たちが食べているキノコと呼んでいるものはキノコそのものではなくキノコの実態である菌糸から出てきた花のような子実体を食べているのです。

 一見、私たちの生活に身近に思えるキノコ・・・実は、大変ややこしい存在として扱われてきたという歴史があります。
 例えば、ヨーロッパの食用キノコを代表するトリュフは古代ギリシャ自体から珍重されてきたと言われています。しかし、紀元前300年ころテオプラストスによってかかれた「植物誌」でトリュフは、「根も、茎も、枝も、芽も、実もなく、樹皮も、繊維も、蔓(つる)も持たない植物」として紹介されて以来、長い間正体不明の生き物として扱われてきたのです。
日本でも、植物学の父と呼ばれる牧野富太郎氏が1940年頃だした「牧野日本植物図鑑」でキノコを苔の仲間とし隠花植物として分類しています。

 このように、植物のようだがなんかおかしい・・・という扱いだったキノコですが、20世紀に入り、色々なことが解明されるとともに、生物界を植物と動物に二分する考え方に疑問を持つ人が多くなってきた事によってようやく菌類という生物学的な地位を確立したのです。

 その時の分類では、植物は光合成、動物は消化、菌類は吸収によって生命維持をするものと言うように生物を栄養摂取の方法で分類する生物5界説が出来上がり、ようやく菌類は、植物や動物と並ぶものとして認められたということなのです。

 さらにいえば、菌類と細菌も分類学上は違うものとして認識されているようで、詳しく見ていくとあらゆる点で全く異なった生物なのだそうです。この菌類や細菌の世界はまだまだ未知の世界が多いために、思い込みや勘違いなども多いのが現実のようです。

 最近、良く巷で聞かれる「・・・性乳酸菌」などという言葉も、細菌が動物とも植物とも全く違う生物であるということが認識されようとしている現代において、実は生物分類学上はありえないマーケティングのためのセールスワードなのでは・・・?という疑問もでてきます。

まだまだ、身の回りに多くの思い込みがあるような気がしますので、是非探してみませんか・・・?


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Posted by toyohiko at 14:36│Comments(0)食べ物を選ぶ
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