2012年03月24日
メタボは腸の勘違いから

メタボリックシンドロームは、別名内臓脂肪症候群とも言われていますが、この内臓脂肪がなぜ、いけないのでしょうか・・・?
このことに関する完全な回答というのは出ていないそうですが、慶応大学医学部腎臓内分泌代謝内科の伊藤裕教授は、内臓脂肪を「腸のお隣さん」という言葉で説明してます。腸は常に外敵の脅威にさらされている一方で、腸を養う血管や腸が吸収した栄養を送る門脈というハイウェイや腸を守るリンパ管が周りを覆っています。
また、内臓脂肪は消化管の周りについた脂肪のことですので、門脈やリンパ管は内臓脂肪の中に埋もれている状態になります。
生物が、歯をもつようになってから2つのものを得たと言われています。その1つは「胃」です。歯を使って食べ物を噛み砕く事が出来るようになったために、栄養価の高いものを一度にたくさん食べることができるようになりました。そのためにたくさん食べた物を一時的にためておく臓器としての「胃」が必要になったのです。
2つ目は、抗体を作り出すリンパ球です。色々なものを食べるようになると、その食べ物と一緒に、いわゆる「得体の知れないもの」が一緒に腸の中にやってきます。この「得体の知れないもの」に対抗するのが獲得免疫です。
以前にも紹介したように、免疫は、自然免疫と獲得免疫の二種類あり、自然免疫は生まれながらに身体に備わっているオールラウンドプレーヤーですが強烈な攻撃力はありません。しかし、獲得免疫は生まれた後に起こった様々な「苦い経験」をもとに、その「苦い経験」をしないために相手に合わせた特有の攻撃力を持った特殊部隊のようなものです。良く聞く「抗体」というのはこの特殊部隊が保有する武器のようなものです。
どちらが先かはわたりませんが、どうも人間の身体は、コレステロールを「得体の知れないもの」と認識するようにできているようで、本物の「得体の知れないもの」である、細菌の身体も、コレステロールを同じ脂肪の仲間がたくさん含まれているために、身体の中に侵入すると自然免疫を活性化するスイッチが入るような仕組みになっています。
つまり、逆もありということで、食べ物の中に含まれる脂肪の量が多いと「得体の知れないもの」と勘違いしてしまい免疫が必要以上に活性化されてしまうということになります。その結果、リンパ管の周りにまとわりついた内臓脂肪に炎症がおこり血圧や血糖値の上昇など生活習慣病の症状が起こりやすくなる・・・すなわち、メタボリックシンドロームの症状が起きる・・・というわけなのです。
昔から、「腹八分目で、医者いらず」と言いますが、食べすぎが身体に良くないというのはこういう理由からのようです。単純に脂肪分だけ減らせば・・・ということだけでなく、炭水化物などの糖質も周り回って、体内に脂肪として蓄えられるような仕組みになっています。しかも、消化吸収のしやすさからすると脂質よりも早く蓄積しやすいということもありますので、全体のバランスが常に必要なようです・・・。
Posted by toyohiko at 12:05│Comments(0)
│身体のしくみ
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