2012年02月03日
「前代未聞の微生物」の超能力

微生物はいたるところに存在し、かつ様々な性質を持っているといわれていますがまだまだ未解明の部分も多いのが現状です。そんな中、最近の研究で興味深いものがありますので紹介したいと思います。
今から1年ほど前、NASAが「前代未聞の細菌を発見した。」というプレスミーティングを行いました。その内容は、「ヒ素」を積極的に摂取してDNAをタンパク質を作りだす微生物を発見したということでした。
「ヒ素」は、生体に欠かせない元素とされる「リン」とよく似た化学的性質を持っているため、「リン」変わる必須元素として「ヒ素」を摂取しているとみられていますが、地球上のほとんどの生物にとって、猛毒である「ヒ素」を吸収してくれる微生物の発見は驚くべきことです。
また、これは国内の話ですが、広島国際学院大学の佐々木健教授が「高効率で放射性セシウムを回収する微生物を発見した。」というものです。放射性セシウムと言えば、福島第一原子力発電所の事故で発生した、放射能汚染の原因物質の一つです。その放射性セシウムをある種の光合成微生物が泥の中の放射性セシウムの取り込む能力があるということが明らかになったというのです。
佐々木教授によると、この微生物は生体に必要な「カリウム」の代わりに「放射性セシウム」を取り込む性質を持っているということで、福島市内で採取したヘドロにこの微生物を加えた実験では90%という除染率を示したそうです。
通常、汚水は空気を吹き込み続ける曝気という行程で、好気性の微生物が有機物を分解しながら増殖する過程を利用して浄化を行いますが、今回のように「ヒ素」や「放射性セシウム」のように特定の物質に対して選択的に吸収する能力のある微生物の発見は、今後の大きな可能性と期待がもたれるものです。
また、身近なところでは「昆虫の食べる植物の好みは腸内細菌が決める」という話が、日本応用昆虫学会のホームページで紹介されています。一般的に昆虫は偏食が激しく、決まった植物しか食べないとされています。そのため、栄養失調になってもおかしくないのですが、その不足する栄養を腸内細菌が分泌するアミノ酸や窒素分で補っているために結果的に身体のバランスをたもち、皮肉なことに偏食癖を支えているということになります。
実際に、クズの他にマメ科の植物も食べるマルカメムシとタイワンクズのみでマメ科の植物をほとんど食べないタイワンマルカメムシの腸内細菌を入れ変えた実験を行ったところ、餌となる植物の好みまで入れ替わり、種の繁殖力にも影響があったということです。
この発見には、ひょっとすると日常の生活の中で、「害虫」を呼ばれる概念をくつがえすかもしれない可能性を感じます。
ここ最近だけでも、次々と新しい発見が出てくる微生物の世界・・・
実は、人類が利用していると思っているだけで、私たちの健康から地球全体の環境までコントロールされているのかもしれません。
Posted by toyohiko at 10:59│Comments(0)
│地球を考える
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