2011年11月19日
おなかの中はどうやって調べる?

「生きて腸まで届く乳酸菌」というキャッチフレーズがありますが、そんな小さい微生物が生きておなかの中まで届いているのかどうか、どうやって調べているんだろう・・?と思っている方もいるのではないのでしょうか。
また、腸の中には約100種類100兆個の微生物が住んでおり、おなかの中で共生しているとも言われていましたが、その数も最近では300種類とか数100種類数100兆個と表現が変わってきています。
このことは、以前よりも人間のおなかにいる微生物が増えたのではなく技術の進化によって今までわからなかったことが分かるようになってきたからといわれています。
これまで、腸内細菌の解析は人の糞便を採取しそれぞれの微生物に適した環境で培養することによって行われてきました。生きて腸まで届いているかどうかは糞便に含まれる特定の微生物の量や本当に飲用した種類の微生物かをDNAレベルで確認するなどのプロセスを経て行われています。
しかし、培養による解析方法も万能ではありません。多大な労力や時間を要してしますことや採集されたサンプルに含まれるすべての微生物(菌株)を培養することが難しいことや、従来の分類や同定法では正確性に欠けるということもありました。
以前にも、申し上げたように微生物は特定の環境や組み合わせのみによって生体反応が起こるために、一つだけ取り出すことや環境が再現できないことによりその微生物(菌株)が人間に与える影響なども確認することが難しいのが現状です。
最近では、PCR法という手法でいろいろな解析が可能になってきました。PCR法という名前は、新型インフルエンザなどの報道で耳にしたことのある人もいるかもしれませんが、DNAのある一部分だけを選択的に増幅させる方法ですが、この方法によって今までの培養法では一番多いとされていたバクテロイデス(Bacteroides)という菌株が実は3番目だったということがわかってきました。
さらに、乳児特有の菌株と言われ、成人から検出されたことが無かったビフィドバクテリウム.ブレーベ(Bifidobacterium.breve)というビフィズス菌の1種が成人から見つかり、親から子供への腸内細菌の受け渡しの可能性を示唆するような結果も出てきました。
科学技術の進化により、今まで当たり前だと思われていたことが実は違っていたり。科学的に証明が難しかったことが検証されたり多くことが解明されるかもしれません。
このようなPCR法などの様々な科学の進歩により、腸内細菌と人の健康との関係もいろいろなことがわかるかもしれません。
Posted by toyohiko at 16:06│Comments(0)
│身体のしくみ
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