2011年09月02日
感染症を予防する衛生管理と腸内環境

9月に入り本格的な台風シーズンとなってきました。実はこの9月1年中で最も食中毒の多い季節なのです。
以前にも記しましたが、食中毒に関する細菌の繁殖条件は温度・湿度ともに6月とあまり変わりはないのですが、暑い夏を過ごした後の身体のダメージ・・・いわゆる夏バテの状態になっている場合など体調が不十分な方も多く結果、免疫力も低下し食中毒になってしまうことが多くなるというのが現状です。
特に、今年は6月からの猛暑が続き体力的なダメージも例年よりも大きいことが考えられるため十分に注意をしたほうが良いと思います。
感染症の発症は、
? 病原微生物(ウィルス含む)が人の体内に侵入する。
? 感染する条件に適したところ(腸など)に到達して組織に付着する
? 付着した微生物(ウィルス含む)が増殖する
? 増殖する際に毒素を出すもしくは組織の中に侵入する
? その結果、症状が出る
という5つの段階があります。そのいづれかで食い止めることができれば、食中毒などの感染症は予防できるということになります。
病原微生物の感染は、経口感染、経気道感染、接触感染があります。消化器系の感染症のほとんどは経口感染によっておきますので、「食材に病原菌をつけない、増やさない、食材についたら殺す。」の3つの考え方が有効です。
しかしながら、病原微生物にかかわらず、カビの類もふくめ空気中に飛散しているものも少なくないという理由からも身体に入れないという防御法については限界がある言わざるを得ません。つまり、食中毒であれば、腸に到達させない、そして増殖させないというのも大切な予防法になるわけです。
体内に入ってしまった後の予防法の一つにワクチン接種という方法があり、場合によっては非常に有効な予防手段になります。しかし、日本では現在ほとんどが認可されていないのが現状です。そこで、注目されているのがプロバイオティクスをはじめとする人間に有用な働きをする微生物です。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科特任教授の竹田美文氏によるとこのプロバイオティクスと腸管感染症の研究もそれぞれが異なるプロバイオティクス(菌株)を対象に、異なる腸管感染症を調べていたりということもあり腸管感染症予防に役立つという報告がある一方、役立たないという報告もあり学説が定まっていないと言わざるを得ない状況にあることも事実だそうです。
そんな中、竹田氏のグループがインドで1〜5歳の乳幼児3,585人を対象に日本でもインドでも売られている飲料に使われている菌株を使い、コレラなどの急性下痢症の予防効果を調べるために、急性下痢症の12週間の発症調査を行いました。その結果その菌株を摂取したのほうが、急性下痢症の発症率が摂取しなかった(プラセボグループ)方より14%少なかったという結果も出ている報告もあります。
今回の結果を竹田教授は、今回対象となったプロバイオティクス(菌株)を摂取することによって、腸管免疫力が強化されたのでは・・・としていています。
ここで、いつも言われるのが身体全体の約6~7割が集中しているといわれている腸の免疫システムをしっかり機能させることの大切さです。
免疫というのは、一つのものが極端に働きすぎても自己免疫疾患のような症状になる場合もありますし、仕組みが非常に複雑ですが、全体のバランスが大切なようです。
健康の3大要素といわれる「食事・睡眠・運動」のように自分自身の身体を総合的に考えていくことが大切だと思います。
あるシンポジウムで女優の仁科明子さんが「「笑う」ことで免疫力が高まることを実感して以来・・・
「元気」、「陽気」、弱気を吹き飛ばす「強気」、自分を鼓舞する「やる気」、最後に自分の選んだ道を突き進む「勇気」の5つの気を免疫力アップのために心がけている。」と言っていました。
これも、素敵な健康法の一つですね・・・
Posted by toyohiko at 11:06│Comments(0)
│身体のしくみ
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