2011年08月12日
生態系ネットワークという考え方

生態系という言葉は、昨年愛知県で生物多様性に関する条約締結国会議(通称COP10)が行われたこともありご存じの方も多いと思います。
生態系という言葉の意味をここで掘り下げてしまうと非常に複雑になってしまいますので、大まかな概念だけを確認させていただきますと、生物を取り巻く環境全体を一つの閉ざされたかたまりと考えたときの食物連鎖もあわせた生物群のことだとイメージしていただければ良いと思います。
もっと具体的にいえば、近所の池や川にはそこの環境にあった生物がお互いに餌となる生物を捕食し合い、いろいろな生物が共生しているという状態ともいえます。
その生態系に対して、ネットワークという言葉が、何故かかわって来るのか・・・
というのが今回の話になります。
生態系というのは、広い意味ではつながっているように思われますが実は、いろいろな形で分断されています。代表的な例を挙げますとガラパゴス諸島です。この島は、海によって生態系が周りと分断されているために独自の生態系があるということで知られています。
この生態系の分断は、海によるものだけではありません。大きな河川などの自然の地形性によるものもあります。しかし、私たちのもっとも身近な分断の要因は、道路などの人工的な構造物や街並みそのものであるケースが多く見られます。
この生態系の分断の理由の一つは、生物にはそれぞれ固有に移動可能距離というものがあることによります。例えば、アリなどの移動可能距離は種類によっても異なりますが約50mと言われていますし、オイカワなどの小さな魚類も1m以上の落差を飛び超えることは難しいといわれています。
生態系においての条件は、そこの環境において食物連鎖がしっかりと機能しているかどうかがかなり重要になってきます。この食物連鎖が損なわれるようなことがあれば、そこの場所は、生態系としては成立しなくなってしまうということになります。
かりに、食物連鎖が機能しない状態のところに特定の種を生息させ続けたいのであれば、外部からいろいろなものを人の手によって導入し続けることによってしか方法は無くなってしまいます。
また、それぞれの生態系が空間的に孤立していたとすれば、その生態系は一見は豊かな自然にあふれたものに見えたとしても、常に危険にさらされている脆弱なものと言わざるを言えません。特にまちなかは、生態系という観点から見たときに孤立した空間が多いのも現実かと思います。
皆さんの住んでいる近くの公園と、もう一つ離れた公園・・・さらには、もう少し遠くの池や川を結ぶその間に生き物が移動する拠点となる空間があるでしょうか、樹木や水辺・・・ひょっとすると皆さんのお宅の庭先や勤務先の敷地の一角がその役割を果たせるかもしれません。
そんな、生き物の移動が出来やすいネットワークを身近な所に・・・・という視点で皆さんの生活空間を見直せば身近な自然というものがちょっとづつ楽しいものになって来ると思います・
今日からでも豊かな生態系を支える一人になれるかもしれません。
Posted by toyohiko at 16:44│Comments(0)
│地球を考える
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