2011年07月15日
汗は大切な冷却システム

梅雨も明け、本格的な夏になって来ました。しかも今年は、「節電」コールが鳴り響き自力で暑さと戦わなければという、例年とは違うムードも漂っています。
暑さと言えば、汗をかく季節ということになるのですが、この汗は体温を調節するための大切な役割をしています。しかも、人間以外の動物のほとんどは、体温を調節するために汗をかくということが出来ないのだそうです。
犬が走った後に、舌を出しながら「はあはあ」と浅く早い呼吸をしているのは、汗をかく代わりに、口のなかや舌を濡らして息を吹きかけることによって熱を蒸発させて体温調整をしているのです。
しかし、人間の発汗による体温調整と比べるとはるかに及ばないというのが現状のようです。
中京大学の松本孝朗教授によりますと、人間のかく汗は「精神性発汗」、「味覚性発汗」「温熱性発汗」の3種類に分類されるそうです。
ます最初に、「精神性発汗」というのは、「手に汗握る・・・」という言葉の通り、精神的な緊張や興奮あるいは考え事などの知的活動をした時に出る汗のことです。この汗は、体温調整の意味はほとんどないといわれています。
特徴的なのは、手のひらや足の裏にのみ汗をかくことです。この汗は動物にもあるそうで、手足を使うときの滑り止めの役割をしているという説があります。
2番目の「味覚性発汗」というのは、唐辛子などの辛い物を食べたときに出る汗のことで、頭と顔だけに出るのが特徴です。これは、辛みや酸味、甘みの強いものなどを食べることで発汗に関わる神経が刺激されて汗が出るというものだそうです。
最後の「温熱性発汗」というのが、人間の体温調整にもっとも大切な仕組みとされています。これは、汗とともに熱を放出するだけでなく、皮膚の表面から水分が気化することによって身体から気化熱を奪うという機能を使って体温の調整をしています。
また、発汗も身体じゅう同じようにかくのではなく。体温の状況によって汗をかく場所や量も違います。
はじめは、額と脇の下から汗をかき始めますが、あまり量は多くなく体温が上昇してくるに従って背中から上半身と多くの汗をかくような仕組みになっているようです。
また、食事の時に汗をかく人がいますが、味覚性発汗だけでなく食事をすることによる体温上昇を調整するための温熱性発汗をすることもあります。
「汗っかきで困る・・・」という方がいるかもしれませんが、悪いことではなく基礎代謝が高くて日頃運動をしているために汗腺が発達している体温調整能力の高い人ということのようです。もちろん例外はあるようですが・・・
この3つ以外にも実は、汗をかく場合があります。これは、風邪などで病原菌やウィルスに感染した場合の生態反応によって上昇した体温を下げるためのものです。また、甲状腺機能亢進症が原因で発汗量が増えたり、外傷や出血などのショック状態を回避するために交感神経が緊張することによる発汗など・・・疾患のサインといしての汗もあります。
汗をかいてベタベタするのも気持ちの良いものではないですが、自分自身の身体のサインという意味で良い汗のかきかたをしたいものですね・・・
個人的には、出来れば、精神性発汗はなるべく少なくしたいものです。
Posted by toyohiko at 16:19│Comments(0)
│身体のしくみ
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