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2011年04月15日

食べられない食べ物

食べられない食べ物

 1,900万t、4,320万t、1億9,500万t・・・
この数字、一体何の数字でしょう・・・
1,900万tという数字は前回でも紹介しましたが、日本での年間食品廃棄物量です。続いて、アメリカ、最後がEU16カ国合計の数字です。

 あまりにも、大きな数字で良くイメージが湧かないと思いますが、世界中で年間1,000万人が餓死しているといわれているなか、ある試算にによりますと1tで年間6.7人が賄える食料品の量と言われています。この廃棄されるはずの食料で17億人以上の命が救えることになるという量なのです。

 ただ、この廃棄量という数字、実態把握は非常に難しい数字と言われています。
廃棄そのものが、いくつかの過程で行われるということと、果物の皮や動物や魚の骨など過食部とされていないものを含むか含まないかということ、最後に家庭での生活そのものに隠れてしまっていることなどの原因で、ある意味で推定値という域をなかなか脱することが出来ないという現状があるようです。

 実際にどの過程で、廃棄されるかといいますと、まずは産地や流通過程です。当然のところ田んぼや畑、海や河川がこれにあります。
農作物の場合は、初めから特定の種類のものを目的に沿って作付をしますので、産地や流通過程での規格というもの大きく左右されます。
 見た目では、わからないほどの色や形、ジャガイモも購入された後に芽が出てしまった場合は、調理の時に取り除くのですが、出荷の段階で出てしまったものは規格外となり、廃棄もしくは、飼料となります。

 水産物の場合は、事情がまた違います。養殖はともかくとして、通常は漁具をつかって魚などの水産物を捕獲します。その漁にはそれぞれ目的の魚種があるわけですが、当然それ以外の魚種も網に入ってくるわけです。一杯的には雑魚と呼ばれ、海上で戻してしまうことがほとんどだそうで、混雑投機と呼ばれます。漁によっても異なりますが、欧州の例ではでは投棄する漁が40~60%あり、70~80%はその間に死んでしまうという実情があるといわれています。EUでは、2013年には漁業者がいったん漁獲した水産資源の投棄を全面禁止することを検討しているようです。

 生鮮品として、食卓に上がるものについては、今あげたようなケースが考えられますが、食品を加工する際に出るもの多いのが現状です。おからが産業廃棄物という扱いになってしまい問題になったことも記憶に新しいものです。また、消費者に届けられる手前の店頭などでの廃棄もあります。特に弁当などの調理品は、コンビニなどで取引上の地位的優位の問題などでクローズアップされました。

 最後に、家庭に入ってからの廃棄がありますが実は、農林水産省の統計によりますと廃棄量全体の1,900万tに対して家庭からの排出量が1,100万t(うち過食部が200~400万t)と一番多いことになっています。

 30年ほど前のことでしたが、静岡県の清水によく立ち寄ったうどんやがありました。そこで必ず店の主人に「うどんの耳ある・・?」と必ず聞いていました。うどんの耳とは、うどんを打ったときの端のところのことです。少々不格好なのですが、通常の麺とは違う歯ごたえが好きでした。
普通であれば捨てられていたのかもしれませんが、そこの店でうどんを打っていたことと店のご主人と顔なじみであったことで食べることが出来たのです。

 近年、地産地消という言葉をよく耳にしますが、作物の作り手、料理の作り手、食事をいただく人の顔が見えるということで、食品の廃棄量が減らせるのかも知れません。


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Posted by toyohiko at 17:49│Comments(2)地球を考える
この記事へのコメント

 食べていく(生きる)ということは、他の生き物の命をいただいているということを忘れてはいけないと思います。
Posted by toyo at 2011年04月22日 18:11

食べ物は、いつかは腐敗します。冷凍庫や冷蔵庫のなかった頃は、今より食品の保存が難しかったでしょうが、その頃の方が廃棄される物は少なかったのではないでしょうか。私が家業を手伝っていた頃、豆腐屋さんから渥美の牛舎におからを運んでいました。廃棄物のおからが牛の餌になっていました。酢の絞り粕も餌になっていましたよ。食品の捨てる部分(皮や食べられない所)は除いてなるべく残り物の出ないようにしたいと思いました。
Posted by youko at 2011年04月21日 19:15
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