2011年04月08日
賞味期限と消費期限

賞味期限と消費期限、この表示は流通する食品のほとんどに義務づけられています。
数年前、再製品化や表示偽装がクローズアップされたときをきっかっけに多くの方が関心を持つようになりましたので、現在は、比較的普及した言葉になっていると思います。
この二つの表記、はJAS法及び食品衛生法によって加工食品に対して定められています。この加工食品に対してというのがポイントになります。つまり、キャベツや大根には消費期限も賞味期限も付いていませんし、昔ながらの魚屋さんのように1匹そのままで販売している場合も付いていません。
また、加工品でも冷凍食品には消費期限が表示されていますがアイスクリームには表示されていません。これは、低温管理により品質を保つという意味では同じなのですが、冷凍食品の方が温度変化に対する品質劣化が消費者にとって分かりにくいということでこのようになっているようです。
消費期限と賞味期限の違いはどこ?というのが多くの方の疑問かと思いますが、私は「安全」に関するの基準と「安心」に関する基準だと思っていただくのがわかりやすいかと思います。
つまり「安全」というのはこのケースでいえば、「健康被害がない」ということばで言い換えることが出来ますので、「食べてお腹を壊したりする可能性がない期限」と云うように言い換えることが出来るかもしれません。
一方、「安心」というのは健康被害の可能性は極めて薄いが、「美味しく・楽しく食べられる期限」という意味でとらえていただくのが良いのかと思います。
消費期限が、生鮮食料品など菌の汚染などの原因によって品質劣化しやすいものに表示されているのは、こういった理由からです。
この二つの期限、どうやって決められているかと言いますとガイドラインなどはありますが、食品を加工及び製造するメーカーが決めることになっています。つくった側の気持ちとしては、せっかく作ったものを「より安全に、美味しく食べていただきたい」という思いがありますので、必然的にこの期限に対してはより慎重にならざるを得ません。
数年前の、再製品化や表示偽装なども「厳しい設定にしているのだから、実はこのくらいは大丈夫・・・」というかたちで「安全で、美味しく」という意識が裏目に出てしまったのかも知れせん。
実際に、業界団体内で横並びという発想で賞味期限を決めているために、国内で流通しているものと、海外で流通しているもので国内で流通しているものの方が2分の1以上短いというような事例もありますので、内情はあまり単純ではなさそうです。
また、日本における食品の廃棄量は年間1900万t(平成19年)と言われているなか、この期限表示が販売戦略になっているという批判があることも事実です。
イギリスの事例でいえば、「国民の3分の1以上が賞味期限が過ぎた食品は食べると食中毒になるので捨てなければならないと思っている。」という調査データもあるようで、現在の所轄官庁である消費者庁でも、表示の意味の誤認による食品の廃棄を減らすために、賞味期限については、「美味しさ期限」などの表示変更の議論もなされているようです。
もし、この食品の廃棄がなされなかったとすれば、食品の売り上げが減少し、経済に影響が及ぶことになります。また、同時に日本の課題である食料自給率は向上するというジレンマと戦わなければならないのも事実です。
期限表示があるからこその弊害が少しでもなくなるように、「いただきます」の意味の「命をいただきます」をもう一度考え直して、いただいた命を無駄にしないよう、表示のみに頼らない判断力が求められます。
キャベツや大根の期限は自分で決めていますからね・・・・
Posted by toyohiko at 08:51│Comments(0)
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