2011年03月26日
むくみのメカニズム

「どうも夕方になると足がむくんで・・」ということはだれもが経験していると思います。「靴を買うなら夕方に」というのも、この「むくみ」を考慮して経験的に言われていることです。
この「むくみ」というのは、程度の差こそあれ二足歩行である人間にとって宿命といわざるをえない症状のようです。
私たちの身体は、約70%が水分で出来ています。その水分はどのような形で身体の中に存在するかと言いますと、血液、リンパ液、さらに唾液・汗・精液・尿など、体内外に分泌・排泄される様々な液体があります。
そのほかにも、細胞と細胞の間にわずかな隙間があり、そこに水分が存在しています。これを組織間液と呼びます。
この組織間液、ふつうは静脈やリンパ管に再吸収されるのですが、何らかの理由で皮下組織に過剰に溜まってしまい多すぎ状態になってしまうことを「むくみ」と言います。
日本リンパ学界常任理事の廣田彰男氏によると、さまざまな原因があります
まずは、運動不足があげられます。
人間の身体は、足まで降りてきた体液を心臓まで押し戻さなければなりません。その働きを「静脈ポンプ」作用といいます。この静脈ポンプは、足の運動にともない、ふくらはぎや太ももの筋肉が縮んだり、ゆるんだりすることによって行っていますので、普段あるかなかったり、デスクワークの多い生活の方は気をつける必要があります。
身長が低い人よりも高い人のほうがむくみがでやすいというのも同じ理由からだと考えられています。
また、肌の張りも「むくみ」と関係すると考えられています。むくみの症状が皮下組織も含めた細胞間に水がたまった状態と考えれば、新品のスポンジと使い古して薄くなったスポンジで、新しいほうが水分量をコントロールしやすいということと同じなのかも知れません。
典型的なのは、老人性のむくみで、乳幼児や若年の女性も皮膚が薄く柔らかいためにむくみやすいといわれています。
美容やダイエット法で良く知られるリンパマッサージも組織間液をリンパ管に戻して体液全体の循環を調節するという考え方で行っていますので、やはり肌の張りは必要のようです。
以上の二つは、生理的なむくみに分類されるので、程度にもよりますがあまり気にしなくても良いようです。
しかし、なかには病的なむくみとされるものもありますので気をつける必要があります。
その違いをどうやって見分けるかいいますと、身体の水分の90%は静脈にもどるはずなので、疑わしい場合には、静脈の流れに問題がないかを考えます。
通常、考えられるのは静脈瘤や静脈血栓などです。静脈瘤は静脈の逆流を防ぐ弁の損傷によって起こります。静脈血栓は長時間、足を動かさずにじっとしていることによってできる静脈に出来る血の固まりです。
いわゆるエコノミークラス症候群は、この血栓が血流にのって肺に運ばれ、肺に詰まって引き起こされるものだといわれています。
心配な方は、以下のポイントをセルフチェックしてみてください。
・朝になってもとれないむくみ
・むくみと一緒に、いつもと違った症状があるとき
(息切れ、尿の出が悪い、身体が疲れやすいなど・・・)
・むくみと同時に、急に体重が増えたとき
・足以外に、顔や手にむくみが出るとき
(平井正文「足と脚の外来診療」メディカルトリビューン2007より)
お互い、日々の健康に気をつけましょう・・・・
Posted by toyohiko at 10:59│Comments(0)
│身体のしくみ
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