2011年03月05日
腸を鍛えるという考え方

「身体を鍛える」ということは、健康を維持する上で大切なことであるということは、ほとんどの方が否定することもなく理解をしていることだと思います。しかし、「腸を鍛える」ということになりますと、「何故・・・?」と思う方が多いのでないかと思います。
理由は、大きく2つあると考えられます。
まず一つ目は、当たり前のことですが人間は、ほとんどの栄養素を食べ物によって補給します。その補給するための仕組みが口から肛門までつながっている消化器官となるわけですが、その中で唯一栄養素を吸収できるのが腸であるということです。
いくら食べても、しっかりと必要なものを吸収しないことには健康な身体を保つことはできません。
腸は大きく分けると小腸と大腸の2つの機能に分かれます。
小腸は、栄養素を吸収するメインの器官で、口から入った食べ物は比較的早く通過していきます。それに対して大腸は水分を吸収しながら食べ物の残りカスや古くなってはがれおちた腸壁の細胞などから便をつくる役割をしています。
そのために大腸には長く食べ物が滞留しやすいために腸内腐敗が起こりやすく、有害物質が水分と一緒に体内に吸収され易くなってしまうというリスクも高いというわけです。
大腸がんという病名はよく聞くのに対して、小腸がんが少ないのはこの滞留時間の違いが大きく関与していると考えられています。
便秘の怖さも食べ物が腸内の滞留時間が長くなることによって腸内腐敗がすすんでしまった状態ということと考えれば理解しやすいと思います。
二番目の理由は、腸には身体中の免疫システムの約6割〜7割が集まっているということです、消化器官は、口から肛門までを一つの管の内側を考えてみれば、常に外界にさらされているために人体に害を及ぼす細菌やウィルスなどに対して常にバリア機能を持ち合わせていなければ大変なことになってしまうということになります。
そのために、唾液、胃液、胆汁酸など様々なバリアを持っていると同時に、免疫システムとして異物の細胞に直接的に働きかけることで身体を守っています。最近では腸管免疫という言葉もあり身体の健康をコントロールするためには重要な部分とされています。
最後に、どのようにして腸を鍛えることができるかというと・・・・
すでに、ご存じのかたも多いと思いますが、人間の腸の中には、腸内フローラといわれる数100種類100兆個の腸内細菌がいます。この腸内細菌の中の良い菌と悪い菌のバランスが非常に重要とされています。
この腸内の菌のバランスは、ストレスや偏った食生活などにも大きく影響を受けるとされていますので、ふだんの生活に気をつけることが大切です。
また、乳酸菌や乳酸菌のエサになるオリゴ糖と呼ばれる難消化性の糖類や食物繊維など、もともと腸の中にいる良い菌を増やす効果のあるものを、継続的に摂り続けることでおなかの中のバランスを常に良い菌を優勢にしていくことができるとされています。
そろそろスギ花粉の時期になってきていますが、花粉症といわれるようなアレルギー症状も、本来免疫システムが無視したほうが良い物を攻撃してしまうことによって現れる、自己免疫疾患の一種と考えられています。一部の種類の乳酸菌が花粉症に効果があるといわれるのも腸管免疫を通じて全体の免疫バランスを調整する効果があることから考えると、理解できることではないかと思います。
春先のような、寒暖の激しい時期は身体にも負担がかかり、疲れやすくなったり・・・、抵抗力が落ちたり・・・というようなことになりがちです。そんなときにこそ腸の中から身体を見直すという発想も大切かもしれません。
Posted by toyohiko at 15:22│Comments(0)
│身体のしくみ
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