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2010年10月22日

骨と筋肉から見る「年齢」と「運動機能」の関係

骨と筋肉から見る「年齢」と「運動機能」の関係

 ヒトの身体には約200個の骨と約400種の筋肉があると言われています。骨は関節でつながることにより骨格を作りだし、その骨格の周りの筋肉の収縮することによって身体の動きができその基本的は機能を「運動機能」と呼びます。

 この運動機能は、20代をピークに30代以降は直線的に低下をしていきます。スポーツ選手に20代が多いこともこのことと多いに関係してます。

 その中でも骨と関節は加齢現象が現れやすい部分なのだそうです。骨の主成分であるカルシウム分(リン酸カルシウム)とタンパク成分(コラーゲンなど)が血液中に溶け出す形で減っていくのだそうが、この現象が高齢になるとみられるようになるといいます。

 東京都健康長寿医療センター研究所の宮崎剛研究員によると、1年間で全身の骨の約10%が入れ替わると考えられています。その役割をするのが、「破骨細胞」と呼ばれる“骨を壊す細胞”と「骨芽細胞」と呼ばれる“骨をつくる細胞”の2種類の細胞になります。その2種類の細胞の活動のバランスによって骨の成長や老化の状態が決まってくるのです。

 そのバランスが崩れる原因としては、加齢やエストロゲンのようなホルモンの欠乏があるとされていますが、それだけではありません。食事などから摂取するカルシウムが不足したり、血中のビタミンDの減少によってカルシウムの腸管吸収が不足すると、その不足分を骨から奪うことによって補充するために、結果的に骨の絶対量も不足することになります。その典型例が、骨粗鬆症ということになります。

 「骨芽細胞」と「破骨細胞」のバランスが崩れるのはこれだけではありません。じつは運動量も大きく関係しているのです。骨格というのは骨と筋肉で構成され、身体全体を支えています。
負荷がかかれば身体を支えるという要求が多くなります。逆に、運動が不足すると身体を支える要求が減ることから「骨芽細胞」の活性が落ちて「破骨細胞」の活性が相対的に高くなってしまうことにより骨が弱くなってしまうということなのです。

 また、筋肉についてですが、上半身にくらべて下半身のほうが筋肉量の低下が顕著に現れると言われています。加齢の影響についても同じで、上腕の筋肉と大腿部の筋肉の筋肉量の低下を20代と70代とで比較した場合に、上腕部については両者の差は対して見られなかったが、大腿部についは、男女ともに約40%減少しているという鹿屋体育大学福永哲夫氏の研究結果もあります。

 さらに、宇宙飛行士が宇宙ステーションに滞在していると1日で筋肉の1%を失うとも言われています。
これは、重力に対しての負荷の大きさも同時に物語っているといえるかもしれません。

 「骨」と「筋肉」そして「運動」との関係も少し考えて普段の生活習慣を見直すことも大切かもしれません。


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Posted by toyohiko at 14:24│Comments(2)身体のしくみ
この記事へのコメント

 筋肉についても、「速筋」と「遅筋」の二種類があり、その筋肉量の割合によって、運動機能も年齢によって変化して来るようです・・・・
 
 ちなみに、年齢とともに割合の増えてくる筋肉は、みなさんの予想通り「遅筋」です。
Posted by toyo at 2010年10月25日 16:03

面白く読ませてもらいました。再確認するところもなるほどなぁ、と参考になります。
 下半身の筋肉量のところは、実感しています!
指導者とて、サボっていてはいけないな、と反省です!
Posted by 無窮花 at 2010年10月23日 21:45
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