2010年08月12日
森に潜む外資

以前にもお話しましたように、地球上の水のうち飲み水になる可能性のある水は、全体の1%、そのうちの97.5%が地下水と言われています。つまり、私たちの口にする飲料水のほとんどは、大地から湧き出たものになります。
最近は、学校などのクラブ活動も水道水を直接口にすることは、衛生上の理由でほとんどないということを聞いたことがあります。休憩中に用意する麦茶なども同様の理由で「水出し」のものは使用せずに、必ず沸かしたものを使用するそうです。
このように、周りに用意をしてくれる人がいる場合はいいのですがそうでない場合においては、ほとんどはペットボトル入りの飲料を利用するのが当たり前になっており、水にしても贅沢品から必需品に形を変えつつあります。この、ペットボトル入りの水の採水地を店先で見てみるとヨーロッパを中心に世界中から集まってきていることがわかります。
しかし、そもそも大地から湧き出した人間の生存権に直結する水を、独占的に組み上げられ有料で販売することへの疑問を抱く人々がいることも事実です。すでにご存じのように日本は、水道水を直接の飲むことのできる数少ない国の一つです。
そのような、状況を支えているのは国土全体の森林面積の割合の多さであり、里地・里山を中心とした水田などの環境だと言われています。休耕田や放置林の問題は、単に農業や林業の問題だけでなく地下水を含めた大地の保水力にも関わってきているということも今や多く場面で言われていることです。
その人類によって生存権にかかわる水の源である森林が、近年中国を中心とした外資によって買われ始めているという話をよく耳にするようになりました。
「なぜ外資が日本の森林を・・?」という疑問を多くの人が感じるはずです。当然、木材としての森林の価値は海外との競争力において決して強いとはいえません、そのようなか、取得の目的の多くは地下水にあるといわれています。
地上を流れる水(河川・水路)には、河川法によってその扱いがルール化されていますが、しかし、地下水については地盤沈下にかかる規制があるだけでほととんど無政府状態というのが現実のようです。
地下水の所有権については、国によってさまざまであるが、水は公のものであり土地の所有権に含まないという考え方と、大きく分けて土地の所有権に含むとする考え方との二つがあります。
地下水を公水とする考え方の国はイスラエル、ドイツ、イタリア、スイスなどがあり、イスラエルでは「地下水は土地所有権に含まれない」とされているし、ドイツ・バイエルン州では、「地下水の公共利用優先」の規定がされている。イタリアについても「所有地内の家庭用地下水を除き、水は公(国家)のもの」と考えられていますが、アメリカや日本では、「地下水は原則としてその土地の所有者に権利がある」という考え方が未だ基本になっているようです。つまり、放置林を手に入れることで質のいい豊富な水を手に入れることができるのです。
そんな中、2008年ごろから日本の水を守るための法整備に乗り出しているということを耳にする一方、「緑のダムという考え方は間違っている・・」という議論を国会で堂々とする議員がいることも事実です。
日本人が水道水を飲むことができなくなり、Made in Japanの海外ブランドの水を飲んでいる姿は見たくないものです。
Posted by toyohiko at 14:36│Comments(0)
│地球を考える
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