2010年08月06日
人と水を守る食糧自給率

先日、あるテレビ番組を見ていたら「食糧自給率はゼロで良い・・・」と発言している農業従事者がいました。そこには識者といわれる方々や国会議員の方もいる中での発言でした。あの状況でのこの発言は、私たちに色々な問題提起をしていると思います。
皆様もご存じのように、我が国の食料自給率はカロリーベースで41%という数字になっています。主要先進国の中でも決して自慢できる数字ではないことも理解できます。
しかし、「なぜ、食料自給率を上げなければいけないの・・・」という問いかけに自分自身であればどのように答えるか・・ということではないでしょうか。
フランスでは、大統領の「食糧自給率が100%を切っている国は独立国とはいえない。」という掛け声のもといまや高水準での食糧自給率を保っています。
しかし、逆説的にいうと世界の中で資源がある国とない国があるんだから、それを仲良く分けあって循環すれば良いじゃないか、何かいけないんだ・・・
化石燃料についても同じで石油、石炭などの化石燃料も出る地域(国)とそうでない地域があるのだから、分け合うのが当たり前ではないかという考え方もできます。
しかし、実際に国と国との関係になった場合にそのようになるでしょうか、よく国益という言葉も耳にしますが、その国益っていったい何なのでしょうか、ということも考えなければいけないのではと思います。
日本の場合、エネルギー自給率は4%と言われています。最近、電力会社のCMで「エネルギーの96%は海外に頼っています」というフレーズが流れていますのでご存じの方もいるかと思いますが、そのような状態であるということも受け入れざるを得ない事実です。
食料にしても、エネルギーにしても自分自身が本当に困ったときに、他の人に自分の分を犠牲にして分け与えることができるでしょうか。それが、国家間の関係になったときに「自国の国民を守る」という責任のもと、指導者がどのような判断をするでしょうか。数年前、バイオエタノール注目されたときにトウモロコシなどの穀類が世界中で高騰したことがありました。その時に数カ国において輸出禁止にしたのも記憶に新しい事実です。
歴史を紐解いたときに、多くの争いごとの原因として、食料やエネルギーの確保が大きくかかわっていることは言うまでもありません。農業や漁業の振興という範疇だけの理解で食糧自給率をとらえていいのでしょうか。
前にも述べたましたように、今や食糧やエネルギーの問題だけなく、「水」の問題にしても国際的には争奪戦が繰り広げられている現状の中、今の減反を中心とした農業政策は、水保全・国土保全の観点において大丈夫なのでしょうか。
国家の安全保障の問題を語るときに、自衛隊の問題や軍事力の問題を議論する場合が多いようですが、水や食料は安全保障にはつながらないものなのでしょうか。
そのような視点で、「食」について考えることも必要かもしれません。
Posted by toyohiko at 11:56│Comments(0)
│地球を考える
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