2010年07月16日
胃の痛い話

「胃の痛い話」というのは、自分にとってあまり良くないことだったり、気が重い、さらに「耳が痛い」という表現を使ったりします。また、実際に胃が痛くなる人もいます。
胃は口からはいり食道を通ったその先の臓器で、消化と殺菌を主たるや役割とするしています。その消化と殺菌の役割としているのが胃液です。
この胃液は非常に酸性が強く空腹時にはPHで1ぐらいといわれています。PH1の酸というのは金属片を入れると周りに泡がたち表面が溶けるのが分かるくらいの強さなので、この胃酸で外界から入った雑菌のほとんどは、口腔内の唾液に加え二重攻撃で死滅してしまうのです。
実は、胃という消化器官はストレスなどのいろいろな影響も受けやすく、さまざまな疾患も多い臓器の一つなのです。
胃潰瘍という病気があります、ひどい状態になると胃に穴があく病気です。これは、ペプシンというたんぱく質分解酵素が胃粘膜を溶かしてしまうらしいのですが、この胃潰瘍の治療薬は神経の薬を使うのだそうで、胃の病であって胃の病ではないようです。
また、胃の不定愁訴と言い、胃もたれ、胃の痛み、胸やけ、ゲップ、不快感などの自覚症状があっても内視鏡などの検査で明らかな異常が見つからない症状がある場合もあります。
以上の二つの症状について考えてみても、ストレスなどの精神的な要因により異常を訴えることの多いデリケートな臓器ということは、皆さんもすでにご存じのことと思いますが、もうひとつ、ここ数年注目されているのがヘリコバクター・ピロリ(通称:ピロリ菌)という微生物の存在です。
この菌は、非常に酸性の強い胃の中でも生息できる特別な習性をもった微生物で、胃癌などの病気の原因にも関係していると言われている菌です。
なぜ、この菌が胃の中で生きていられるかといいますと、菌自身がウレアーゼという酵素を産生(出す)することで、胃の組織中の尿素を二酸化炭素とアルカリ性のアンモニアに分解し、このアンモニアが自分の周りの胃酸を中和しているからだそうです。
ピロリ菌の簡易検査の際に、呼気のアンモニアの状況を調べるのはこのせいで、アンモニアそのものも胃には、どうも悪い影響を与えているそうです。
ピロリ菌のように胃に、生存し続けられる菌は少ないのですが、ビフィズス菌の仲間のビフィダムという種類にもそのような特性をもった菌株(菌の場合は株単位で特性が違います)がいます。胃細胞にくっついて、ピロリ菌の出すアンモニアを低減させるというの特性があるそうで、アンモニアが少なくなれば、原因となるピロリ菌も弱ってくるというものです。
近年、このピロリ菌に対する食習慣として、ブロッコリースプラウト、緑茶、フコイダン、乳酸菌などいろいろありますが、「胃の痛い話」だけでなく本当に「胃」が気になる方は試してみるのもいいかもしれません。
Posted by toyohiko at 17:38│Comments(0)
│身体のしくみ
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。