2010年06月11日
生物多様性って・・・??

今年は、名古屋で生物多様性条約締結国会議(通称COP10)が名古屋で開催される事もあり「生物多様性」という言葉が多く聞かれるようになりました。今月は環境月間ということもあり、生物多様性についてふれてみたいと思います。
生物多様性と一言でいいましても、実際にはどのような事をいうのかはなかなかわからない方も多いかと思いますが、一般的には、「種の多様性」「生態系の多様性」「遺伝子(種内)の多様性」の三つの多様性を指します。
「種の多様性」ついていいますと、地球上には約3,000万種の生物が存在するといわれています。そのうち名前が付いているものが175万種といわれています。それぞれの種は、食物連鎖などの仕組みで全体のバランスを保っているために、1つの種が欠けるということは、単純な話ではなく思わぬところで生態系バランスが崩れる可能性があります。
また、インフルエンザの処方薬として有名なタミフルなどは、実は八角という植物を原料に作っていますし、クマの胆なども古くから富山地方の伝統薬として利用されているということからも、種の多様性は私たちの生活に色々な意味で密着しているともいえます。
つづいて「生態系の多様性」は、生物が生息するための様々な環境が存在することをさします。1990年から2000年までの10年間で、全世界で9,400万ヘクタールもの森林が失われたといわれています。これは、経済活動による森林伐採などにより未開の原生林が人の手が入ったことにより失われることもありますが、逆に日本で古くからある里地・里山のように人間が手を加えることによって保たれる生態系もあるのです。
また、各地で生物の保全活動が行われていますが特定の種にとって適した生態系をつくっていくのには、その環境に適さない生物を排除することになるということを認識するとともに、優先種として考える生物のみが保全されるのではなく、その生物に関わる幅広い生物の生態系保全が必要であるということを認識しなくてはなりません。このようなみんなに「馴染み」があるとか、「カワイイ」などの理由で愛される種のことを生物の世界では、天蓋(てんがい)種と呼び、その種を中心とした環境保全活動が行われています。
具体的には、ホタルを優先種と考えたときには、餌となるカワニナの生育環境を考え、綺麗な流水域の環境が必要になってきますし、天敵となるザリガニや大型の水生生物が取りなどに捕食されやすいように水面の露出を考えるなど、そこの場所のみでなく里山をふくめた流域全体の食物連鎖をうまく回すような生態系のコーディネートが必要です。
ウミガメについても産卵の障害となる砂浜のタイヤ痕をなくすための車両乗り入れ禁止やゴミの除去のみならず、漂砂などの原因で少なくなっている砂浜全体の保全を行っていく必要なように、その場所の環境だけでなくより大きな範囲での相互作用もふくめた取り組みが必要となってきます。
最後に「遺伝子の多様性」ですが、ゲンジボタルの光の点滅の間隔が西日本では2秒、東日本では4秒というように、同じ種であっても生育する環境により固体の形状や特徴が少しずつ違います。同じ種のなかで、特徴が違うが存在することで大きな環境の変化や病気などにたいしても「種」全体が絶滅しないようなしくみになっています。そう言った意味でも「遺伝子の多様性」は重要といえます。
以上のように、「種・生態系・遺伝子」3つの多様性も重要ですが、そこに関わる人間のありかたはもっと重要と言えるのではないのでしょうか。このことも、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
Posted by toyohiko at 16:43│Comments(2)
│地球を考える
この記事へのコメント
人というのは、本来地球というベースで考えれば小さな存在だと思います。
身体に比べて、非常に大きな脳をもちかつ遺伝子の更新の能力が亡くなった状態でも、生命を維持することが出来る。この二つが他の生物との大きな違いであり、結果的に他の生物に対して大きな影響力を持ってしまっています。
どんなことでも、一朝一夕に結果が出るものはありません。特に環境については、大局的かつ長いタイムスケールで考えながら愚直に積み重ねることが、結果につながると思います。
Posted by toyo at 2010年06月21日 10:17
「一寸の虫にも五分の魂」と言うように、いろんな生物にはそれぞれ生きている意味があると思います。短期間で自然を壊してしまう人間は怖いと思うけど、人には知恵があるから自然を守る事もできると思います。
汚れた川が川を汚さない努力によってきれいになった話を聞いた事があります。大きな目で見ると地球そのものも生きていて、治る力を持っているんだと感じます。
Posted by youko at 2010年06月18日 21:46
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