2010年05月15日
古代生物ビフィズス菌

ビフィズス菌という名前を聞いたことのある方は多いと思いますが、いったいどんなものかというとなかなかわからない方も多いと思います。「菌」という名前が示す通り、微生物の種類の一つです。
微生物と一言でいいましても、いろいろな種類のものがいます。大きな分類の一つとしては、「酸素があっても大丈夫か・・」ということが重要になってきます。みなさん、意外に思う方がいるかと思いますが、酸素も高濃度になりますと身体に悪影響を与える場合もあります。
スキューバダイビングをされる方にとっては、当たり前のことかもしれませんが背中に背負うタンクの中に入っているのは空気です。しかし、酸素は入っていると思っている方も意外にが多いです。もし、酸素のみが入っているとしたら呼吸を促す神経に影響が出て、水中で気を失うという結果を招くこともあります。
深呼吸を早い速度でくり返すハイパーベンチレーションという行為も体内の酸素濃度が上がり、ブラックアウトという症状がでるというのもこれと同じです。
私たちが、常に必要不可欠だと思っていた酸素も濃度などもバランスがとれていて初めて身体が維持できるということと、酸素が好きな生き物と苦手な生き物があるということなのです。
これは生物の世界では、好気性と嫌気性という二つの分類に分かれます。それによって、住む環境が違ったり、代謝物が異なったりするのです。酵母菌が酸素の量によって代謝物が違ってくるという性質を利用してアルコールを代謝させたのがお酒です。
この考え方からすると「乳酸菌」と「ビフィズス菌」というように、普段おなじ種類のように扱われる二つの種類の微生物なのですが、乳酸菌が好気性なのに対して、ビフィズス菌が嫌気性というように別の微生物ということになるのです。ちなみにビフィズスという名前は「枝分かれした」という意味でY字型になっていたりV字型になっているものがほとんどです。
人間の体の中にも、乳酸菌やビフィズス菌はいます。特に腸内には数百種類いると言われています。しかし、現在、わかっている乳酸菌の種類だけで20,000種弱と言われていることからすると、人間と相性がいいのはごくわずかであり、しかも、良い奴もいれば悪い奴もいるということです。よく色々なとこらで耳にする**株というのがこの種類になりますので、同じ乳酸菌やビフィズス菌といっても株の名前が違えば別のものということになります。
人間の腸の中では、嫌気性のビフィズス菌は酸素の少ない大腸に、好気性の乳酸菌は小腸に多く存在するということになるのです。ビフィズス菌には繊細なものが多いのもこの酸素嫌いが関係しているのかもしれません。ところで、この嫌気性生物というのは40億年といわれる地球史の中で、遺伝子レベルを調べると地球上に酸素が存在する前からの生物である可能性が高いと言われています。
そんな、古代から脈々と遺伝子を引き継いでるビフィズス菌、まだまだ多くの謎がありそうです。
Posted by toyohiko at 17:30│Comments(0)
│身体のしくみ
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