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2014年11月16日

冬に気になるウィルス

冬に気になるウィルス


 毎年寒い季節になってきますと、色々と健康に対する心配事が増えてく方も多いと思います。特にインフルエンザや、ノロウィルスなどのウィルス性の感染症につきましては、ほとんどの人が、何らかの形で意識をしているのではと思うくらい、メディアも含め日常的に色々な情報が入ってきます。

 冬にウィルス性の感染症のリスクが増えるのには、2つの理由が考えられています。ひとつは、ウィルスそのものが湿度と温度に弱いということです。インフルエンザウィルスなどに関しては、湿度60%という領域を境に罹患率が大きく違うトいうデータも示されているようです。
 もう1つの理由は、乾燥によってのどなどの粘膜の炎症がおこりやすくなり、身体そのものの外敵からのブロック機能が落ちておいる可能性が高いということです。

 これは、冬=乾燥という日本独特なものかもしれませんが、湿度・温度とウィルス性感染症の関係はあると言っていいと思います。とはいえ、湿度が高すぎても、カビなどの菌類の増殖に繋がり、かえって身体にとっての外敵が増えてしまうということに繋がることも充分に考えられますので、湿度60%という数値を意識していただくことが大切なことかと思います。

 そのようななか、それぞれの代表的なウィルスについての性質をよく把握しておくことによって自身の身を守ることが必要かと思います。その中でも消化器官の感染症を引き起こすとされる、ノロウィルスとロタウィルスについての話をしたいと思います。

 これらのウィルスに共通に言えることは、感染力が強いということです。ノロウィルスについては10~100個、ロタウィルスはさらに強いといわれており1~10個で感染するといわれているほど感染力が強いといわれています。

 両方とも消化管に強い炎症をもたらしますので、胃腸炎による嘔吐や下痢の症状が強く現れ、脱水症状などの注意が必要です。先進国の場合は適切な水分補給の処置で死に至るようなことはほとんどありませんが、世界全体でいえば乳幼児のロタウィルスの死亡数は年間40万人にものぼるとされています。

 これらのウィルスの感染症にかからないようにするには、予防が必要になります。そのためにはウィルスの性質をしっかり理解しておく必要があります。

 一般的には、汚染された海水で育った二枚貝が感染源になるといわれていますが、これはウィルスに汚染された嘔吐物や便が下水処理の段階で殺菌処理は出来てもウィルスまではなかなか除去しきれないために二枚貝にある中腸腺という内臓にウィルスが蓄積されてしまうからだといわれています。

 実際は、アサリやハマグリなども感染リスクという意味では同じなのですが、牡蠣のように生で食べる機会が少ないためにあまり問題にならないのです。ということからしても、過熱するということが予防という意味では重要です。

 よく、牡蠣の「生食用」と「加熱用」を鮮度の問題と勘違いしている人も見かけますが、二枚貝の性格上もあり、生育海域の汚染状況によって区別されていることが多いということをよく認識しておいたほうが良いと思います。また、最近では海水の検査もしっかりしてきているので、ウィルス検査でウィルスが検出されている期間は「加熱用」としてしか出荷しないというところもあるそうです。

 また、この2つのウィルスはエンベローブというウィルスを覆う膜を持たないためにアルコール消毒の効果がないということです。逆に、最近話題のエボラウィルスはアルコール消毒が有効であるいう報道がなされているようですので、ウィルスによって予防方法が違うということを覚えておく必要があります。

 これらのエンベローブを持たないウィルスには、塩素系漂白剤を利用したものが有効だとされていますので、家庭では、塩素系漂白剤で汚染された可能性のある布巾や衣類などを消毒することも二次感染には有効です。

 とはいえ、すべての人に対して罹患発症するということではないということを考えると、自身の免疫力をしっかり高められる生活習慣を心がけることが一番重要かもしれません。
 乳酸菌などを利用した食品で腸内環境を整えることによって、罹患した場合の発熱期間が短くなったというような研究結果もあるようですので、そのような方法を考えてみるのも良いかもしれませんね・・・。



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Posted by toyohiko at 08:54│Comments(0)身体のしくみ
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