2015年09月12日
衛生環境と男性の役割

私たちは、私たち自身の身の回りの衛生環境を整えるために、ありとあらゆる様々な方法を取りいれています。
食品のパッケージは、新聞紙で巻いて輪ゴムで止めていたのが、現在は食品トレーに丁寧にのせ、ドリップ防止のマットをひき、場合によっては抗菌フィルムを乗せ、その上からラップをする。生鮮食料品の場合は、買い物袋に入れる際に小分けのビニル袋にいれて持ち帰るというようなことは、特別なことではなくごく日常の普通のことになっています。
さらに、抗菌、除菌という名目のもと様々なものが身の回りに点在しているというのが実態としてあります。
パッケージという観点からすると、衛生状態を保つために膨大な石油製品が使われています。そして、そのほとんどが直接再利用されることなく、「ゴミ」と呼ばれ、社会の中から排除しなければいけないものとして扱われます。
また、多くのプラスティック等の石油製品は、自然環境の中で微生物などで生分解されないために、永遠にプラスティックとして存在し続けてしまいます。
除菌、抗菌も同様で、本来生態系の一部として食物連鎖の一部に入っていた微生物の構成が知らず知らずに変化してしまっていたとしたら、食物連鎖の基礎部分になるものが変わってきてしまえば、いずれ何らかの形で、その変化を生活の中で、負の作用として実感する時が来ないとも限りません。
そのような、環境変化のなか人類という視点で考えてみると、身体を構成している細胞は1万年前とほとんど変わっていないといわれています。
ということは、1万年前の環境に適応するための身体になっていると考えるべきなのかもしれません、自然の中で感じる、音や風をはじめとする人体への刺激を「心地よい」と感じ、人工的なものからの刺激をストレスと感じるのも、遺伝子を次世代に引き継いでいる長い歴史の中で考えれば当たり前のことなのかも知れません。
また、あらゆる生物が飢餓や感染症等の外的要因から遺伝子を守るために、雌雄という性差をつくり、機能的に生殖行為を行うことで、「種の保存」を保ってきました。
しかしながら、進化の歴史の中で雌雄の区別なく雌のみの単位生殖により「種の保存」をしているケースも確認されています。
トカゲの一種である、クミドフォルス・ユニパレンスは、種間交雑によって生まれた新しい種なのですが、雄は存在せず、雌だけで繁殖するそうです。
これらのことは、ほんの一例であり「メス化」と呼ばれるような現象は、様々な事例の報告があったり、人間社会においても「草食系」等という形容がされています。
人類に起きている、「草食系」の話は、世代間の傾向のとして捉えていくだけでいいのか、それとも、生活環境を取り巻く様々な変化に伴う、種の変化の一つと捉えるかで、ずいぶん違いが出てくるような気がします。
1998年の日本不妊学会で、大阪大学の森本義晴教授が健康な男性(平均年齢21歳)60名の精子を調べたところ、精子の量や運動度が正常であったのが2名であったという報告があります。そのほとんどが、カップ麺やファストフードを常食していたそうです。
環境ホルモンと呼ばれる、石油製品の廃棄物等から環境中に入り込む疑似ホルモンの影響や本来自然界に存在しえない物質を含む食品添加物・・・
これらの因果関係については、これからの研究などで明らかになって来るとは思いますが、衛生的な環境を望むことで、「草食系」を促進するという話が、「論理的飛躍」と一蹴されることもあるかもしれませんが、「疑わしきは、近寄らず・・・」も必要かもしれませんね。