2015年10月31日
食品の危険性はどこまで考えるべきか

先日、WHO(世界保健機関)が加工肉の発がん性についての声明を発表しました。この内容の中に、加工されていない牛や豚の畜肉に関する可能性にも触れていたようです。
報道などで、加工肉の販売を行っている方々が、「今回の発表の影響で、販売量が激減した・・・」というような、シーンを目にすることもありました。今回に限らず、このようなケースが社会的にも様々な影響が出てしまうということがあります。
しかも、今回のように歴史的にも長い間、生活の中に親しまれてきた食品に対して、「発がん性」という言葉が出てくると、今までのことに対する不安が募る一方で、「今まで食べてきて、大丈夫だったのにどういうことだろう・・・?」というような、疑問も同時に湧いてくる人もいるのでは・・・と思います。
先日の、スェーデンの食品庁が発表した「コメの摂取制限」も同様のケースなのかもしれません。
一般的に、考えると「健康に悪い・・・」という場合は、その原因物質を特定し、その原因物質を排除する方法をとったり、摂取量によってリスクの状況が異なるのであれば、その原因物質の摂取量を体内で代謝される物質であれば、代謝量以下に抑えたりすることで、身体への影響を抑える事が出来ると考えることもできます。
また、健康に影響のある原因物質が、体内で代謝されにくいようなもの場合は、少々厄介なのかもしれません。
いずれにしても、健康対して悪い影響となるメカニズムがはっきりしない事には、対応しようがないというもの現実です。
今回の加工肉のように大腸がんの罹患のリスクを腸内環境で考えた場合に、腸内フローラの悪玉菌といわれるような、菌株の多くがタンパク質を分解することで、ニトロソアミンなどの発がん性物質を腸内に発生させるということは、以前から言われています。
このニトロソアミンを減らすための工夫はどのようにすればよいかといいますと、腸内腐敗をなるべく起こさないようにすることが大切です。
その方法のひとつは、体内に摂取した食べ物が体温と「悪玉菌」と「日和見菌」の影響で腐敗が起こる前に身体の外に出すことです。
言い換えますと、「便通」を良くして便秘をしないように心掛ける事です。
もう一つは、腐敗させるための「悪玉菌」や悪さをし始める「日和見菌」の影響力を減らすために、乳酸菌やビフィズス菌などの乳酸や酢酸を代謝する菌を優勢にすることです。
そのためには「善玉菌」のエサになるような食物繊維や、「善玉菌」そのものを多く含む食品を積極的に摂取することで、腸内腐敗を抑える事が出来ます。
腸内腐敗の様子は、多くの方が「おならの臭い」で感じることができると思います。
「くさい・・・」と感じる場合は、腸内腐敗が進んでいるという状態ですが、この「臭い」が、食べたものや体調によって、日々違うということも多くの方が実感していると思います。
つまり、「食べ物や体調によって、日々腸内フローラの状態が違う」ことからしても、瞬間的な結果で一喜一憂するのもあまり良いことでないような気もします。
「メカニズムがはっきりしていない健康リスク」に一喜一憂することによるストレスも、立派な「健康リスク」になりえてしまいます。
難しい問題なのかもしれませんが、情報に左右されすぎることなく、じっくりと落ち着いて自分の食生活を見直すことからでもひょっとすると良いのかもしれません。