2020年05月29日
身体と水の関係を改めて考える

人間の身体の多くが、水分で出来ているということはご存知のことでしょうが、神奈川県済生会横浜市東部病院で患者支援センターの谷口英喜センター長によりますと、身体の中の水分量は年齢層によって異なり、子どもで70%、成人では60%、高齢者になると50%と加齢により少なくなってしまい、さらに、お腹の中の胎児については、90%にもなるそうです。
この身体の中にある水分を体液といいますが、この体液は色々なものを溶かしながら身体の中の必要な所に必要なものを運ぶという役割があります。もちろん、老廃物のような不要なものを身体の外に出すという役目もです。
人間は、恒温動物になりますので、体温を一定の温度に保つためにも体液を使いますが、その中でも最も重要な役割をするのが汗です。
身体全体を覆っている皮膚から出る汗は、蒸発するときの気化熱を奪うことで身体からの熱を放出します。四季のはっきりしている日本では、夏は高温多湿のためにこの汗による体温調整の効果は非常に重要なものになります。
温帯域の四季のはっきりしている地域では、体表面の発汗の様子を季節によってコントロールするように出来ているそうで、冬場にはあまり汗をかかずに保温モードに・・・夏場には汗がしっかり出るように冷却モードに・・・というようなものです。
このモードの切り替えを秋と春に外へ出るなどの生活を通じて自然のうちに行っているのです。
しかし、今年のように外出自粛というような様々な要因か重なることで、身体の冷却モードへの切り替えがうまくいかない方も多いという可能性を考えておく必要があります。
普段から、運動する習慣があり、「汗をかく」という事が、特別なことではない方は良いかもしれませんが、高齢の方などで外出が極端に少なくなってしまった方などは、熱がこもりやすい「保温モード」のままになっている可能性がありますので注意が必要です。
とはいえ、「外出も・・・」という方も多いと思いますので、時間をかけて入浴し、汗をしっかりかくということを意識的にしてみることも有効かと思います。
シャワーだけで湯船に浸かる習慣がないというかたも、本格的に夏を迎えるこの時期だけでも汗をかくまで湯船に浸かるということをお勧めします。
熱がこもらないように、汗を利用するということを説明してきましたが、汗を通じて水分を消耗しますので、当然、その分を補給する必要があります。
身体は、水分を必要とするときにサインを出すのですが、その最初のサインが「喉の渇き・・・」です。
このサインの出ているうちに水分を補給していく事が出来ればあまり問題はありませんが、現在のようにマスクを常用するような生活になってくると、口の周りの湿度の上昇なども含め、喉の渇きのサインが出にくくなる可能性も懸念されています。
そういった、懸念もあり2歳未満のマスクの着用については熱中症や窒息の危険などの観点から、日本小児科学会では、「2歳未満の子どもにはマスクは必要ない」という声明を発表しているほどです。
これは、第1のサインという口の渇きについての事になりますが、これを通りすぎてしまうとどのような事が起きてくるかを、谷口英喜センター長が説明しています。
筋肉の異常 ・・・力が入らなくなる、体中が痛くなる、筋肉の痙攣が起きる、
消火器の異常・・・食欲がなくなる、下痢・便秘が起こる、消化吸収の不良
脳の異常 ・・・集中力の低下、頭痛、意識障害
など、・・・たかが水分不足といってもこれだけの身体への影響が出るという事をよく覚えておくことが重要です。
そのためには、出来ることであれば、時間を決めて少しずつ水分補給をしていく事が、水分補給だけでなく、口の中に入り込んでしまったウィルスなどによる感染症予防にもつながります。
今年の夏は、熱中症対策と感染症対策の二つをかねて、小まめな水分補給を心がけてみませんか。
Posted by toyohiko at 12:40│Comments(0)
│身体のしくみ