2011年01月28日
「マーガリン」と「グリース」

「マーガリン」と「グリース」この一見何の関連もなさそうな二つのもの、一体どういう関係なのでしょうか。しいて言えば両者とも半固形の油脂のような・・・という意味では似ているような気もしますが、一方は日々の食卓に出てくる食品であり、もう一方は機械などに触れる仕事以外の人にとってはあまり馴染みのないものというのがそれぞれのイメージではないかと思います。
マーガリンは19世紀にフランスで発明されたとされています。この時代は、油脂の供給が不足した時期で、ヨーロッパの列強がヤシ油が取れそうな植民地支配に乗り出したり、捕鯨技術が発達したのもこの時期です。いまや問題になっている商業捕鯨もこの1865年に登場した爆発銛(もり)が起源になっているようです。
ヨーロッパの工業化がますます進み、油脂の需要は食料品のみでなく、産業用、特に海軍などでの利用も拍車をかけていたようです。
こんな状況を打開するために、ナポレオン3世がバターの代用品の発明に対して賞金を出すことにしたようです。その条件は、「その製品は、製品製造にあまり費用がかからず、保存してもいやな味になったり臭いがきつくなったりしないものでなければならない。」というものだったようです。
その条件を満たし、見事賞金を獲得したのがメージュ・ムーリエ・イポリットという化学者です。その製法は、牛脂を脱脂粉乳と混ぜ少量の乳房からの抽出物を加えて攪拌するというものだったそうです。その油の弱い光沢がマルゲリットと呼ばれる小さな真珠に似ていたことからマーガリンと名付けたようです。
このマーガリン、食用として使われたかというと実はそうだけではなかったようです。このマーガリンに対する要望がもっと強かったといわれているのが当時の海軍だったようです。海軍ということであれば、屈強な男たちの栄養源に・・・となるわけですが、じつは、銃砲の手入れに必要なグリースとして使われていたようです。
今の時代、普通に食卓に上がるマーガリンも食品としての今の地位を確保するのには様々な歴史があったようです。
また、最近ではマーガリンに含まれるトランス脂肪酸が生活習慣病などの疾病の原因となる成分として、日本国内でも議論の的になっています。
消費者庁によるトランス脂肪酸の表示義務化に対する議論や、大手食品量販店チェーン店がトランス脂肪酸商品全廃を表明したり、さらにそのことに対する「消費者へのミスリード」の議論など、・・・
いずれにしてもマーガリンの人生は波乱万丈のようですね・・・
Posted by toyohiko at 13:49│Comments(0)
│食の文化
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