2015年02月01日
「辛み」と塩味

日本食が世界遺産に認定されたこともあり、日本の食の様式というものが注目されています。その中でも「旨み」という味覚に対する感性に対して高い評価があります。
通常、「食物の五味」言われる「甘味、酸味、鹹味(かんみ:塩味)、辛味、苦味」の5種の味覚と日本人特有と言われる「旨味」をプラスして六味と言われています。
その他に、「淡味」や「渋み」という味の呼び方がありますが、この「淡味」というのは「甘味」に「渋み」は「酸味」に分類されていますので実際には「六味」ということになります。
味覚というものは、皆さんもご存じのように舌で感じるものです。舌の上にある、味雷と呼ばれる器官が感じることにより、食べ物の味を感じることが出来るのです。しかも、それぞれの味を感じる味雷の場所は同じではなく、別のところにあることはご存じの方も多いと思います。
「甘み」は舌の先の方、「苦味」は舌の付け根の方と別れており、「酸味」、「塩味」、「旨味」の五つの味を感じることができます。ここれ、気付いた方もいると思いますが、「辛み」を辛いと感じる器官というものは実はないのです。
「辛い」と感じるということは、「塩辛い」のように味雷が感じ取るのではなく、実は舌が「痛い」と感じるということなので、あまりにも辛いものを食べた時に感じる、「舌がヒリヒリする・・・」という感覚は正しいともいえます。
その「辛み」の代表的なものは、トウガラシ、ワサビ、コショウ、ショウガ、山椒を始め、タデ、大根など様々ですが、植物の一部で、多くの植物がその「辛み」を身につけているといわれています。
その、理由はもちろん他の動物から身を守るための、生命の知恵です。よって、それぞれの植物の辛みの成分も様々です。こうして、考えるとそれぞれの科学者が自分の身を守るために特別な武器(成分)を開発した・・・ようなものと言えるのかもしれません。
また、その成分の使い方も様々です。実にその成分を集中させるのもいれば、根に集中させるものもいます。
昔から「ダイコン頭、ゴボウ尻」という言葉があるように、大根は、先の方が辛いということはよく知られていることです。これも、根が良く伸びて成長するときに虫などに食べられないために、根の先に辛みを集中させていると考えられています。
ゴボウの場合は、葉の近くの部分が堅くておいしくないのですが、ゴボウは灰汁によって外敵から全体を守っているために、根の先端のみを守る必要がないのだそうです。
また、これらの香辛料は昔から食品の保存などでも多くの場面で利用されています。こうして人間は、植物が外敵から身を守る武器を、「楽しみ」かつ「利用」しているのです。
ひょっとして、植物たちは、「辛み」を楽しんだり利用されることを人類に提供することで、「栽培」という手段で身を守ることに転換しているのあれば、遺伝子を引き継ぐためのしたたかな才能をもつ植物というのはすごいのかもしれませんね・・・
Posted by toyohiko at 08:18│Comments(0)
│食の文化