2011年08月19日
日本発・・・ 苦節75年

昨年7月にジュネーブで開催された国際食品規格委員会(CAC)(通称:コーデックス委員会)で「乳製品乳酸菌飲料」が発酵乳を基にした飲料(Drinks based on Fermented Milk)として追加され新たな食品の国際規格として採択されました。
この国際食品規格委員会というのは、1962年にFAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)によって設置された政府間組織で消費者の安全を守るためにいろいろな基準を国際的に決めている機関です。
この、乳酸菌飲料というものは日本では非常に馴染みのあるもので、特保と呼ばれる「特定保健用食品」として健康効果も認知されている食品が「何故、いまさら?」・・・と思う方々も多いと思います。
ここで、日本での乳酸菌飲料についての説明をしますと、乳酸菌飲料というものは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(通称:乳等省令)で無脂乳固形分や乳酸菌数などの基準によって決められています。
また、無脂乳固形分の量によってヨーグルトなどの発酵乳とも食品の規格上区別されています。
法令上の食品の区別は、飲む側の立場にはあまり関係がないのではと思う方がいるかもしれませんが、決められた種別によっていろいろな法律がいろいろなかたちで関わってきます。
日本の場合には、乳酸菌飲料という種別が規定されていますのでイメージが湧かないかもしれませんが、ヨーロッパなどでは清涼飲料などに区別されている場合が多いのが現状です。中でもイタリアでは、日本の乳酸菌飲料は「非アルコール飲料」という分類になっています。
実は、この分類が消費税に大きく関わっている国も少なくないのです。海外では食品の課税を国際食品規格委員会(CAC)に準じて決めているケースが多く、今回の決定によってイタリアのケースでは、日本の消費税に当たる付加価値税が20%から10%以下に下がることもあるようです。
あまりご存じで無い方も多いかと思いますが、この乳酸菌飲料というものは、食品の保存という目的以外で、しかも健康を考えて菌を使用した世界で最初の食品と言われています。さらに良いますと日本発ということにもなります。
一つの食文化が、他の地域で根付くというのは簡単なことではありません。乳酸菌という言葉一つとっても英語圏では:Bacteria(バクテリア)でひと括りに呼ばれていることが多く、他の雑菌と呼ばれるような悪いイメージの細菌とも同じ呼ばれ方をしているのが現状のようです。そのBacteriaが生きたものが入っている食品を口から入れる・・・
文化の壁というものは、大きく乗り越えるのにも時間がかかるものです。実は、日本でも乳酸菌飲料が発売された当時の昭和10年代には同じような反応があったといわれています。
今回の決定は、日本の発の食品が国際規格となった初めてのケースでもありますし、規格の中身の基準についても日本の主張が多く取り入れられたということで大きな評価も得ているようです。
今回のような、国際的な認知というのは今後いろいろなところで意味を持ってくると思います。
しかしながら、ここまでくるのに75年余・・・世界の壁、文化の壁の大きさを改めて考えさせられます。
Posted by toyohiko at 11:32│Comments(0)
│食の文化
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。