2011年02月04日
「ばっかり食べ」の変遷

昭和の初期のころに「ばっかり食べ」という言葉があったそうです。「・・・食べ」というと小学校の給食の時間に先生から「三角食べをしましょう」ということを言われた記憶がありますが、この三角食べとは違います。
ちなみに「三角食べ」というのは、主食・主菜・副菜(汁物含む)を順序良く交互に食べましょうということだったかと思います。一つのものばかり食べてしまうと、最後に残ったものを食べる前にお腹がいっぱいになってしまって食べ残してしまったり、それぞれの料理を適温で美味しくいただくなど、料理の作り手に対するマナーと感謝の気持ちを形に表したものだと思います。
この「三角食べ」に対する「ばっかり食べ」という言葉もありますが、これは多くの料理が食卓にあるにもかかわらず、一つの料理を食べ終えてから次の料理に箸をつけるとい言う意味でつかわれています。
しかし、昭和初期のころの「ばっかり食べ」は多くの種類の食材がなく、特定の種類の食材を工夫して食べていたことを表現したもののようです。
当時の食糧事情はというと、昭和3年の数字によると当時の商店の店員を対象にした調査で1日当たりにカロリー摂取量は2629kcalと2006年の2875kcalに比べても非常に低いというほどはなかったが、昭和16年からの約5年間はひどくなり、輸送船がほぼ全滅したこともあり砂糖と大豆の輸入も激減し、家庭菜園、買い出し、闇市で生き延びた状態だったといいます。
敗戦直後にGHQへの食糧援助の折衝の中で、「ドイツでさえ1550kcalなんだから、日本はそれ以下にするべきだ・・」というアメリカの主張にたいして、当時の農林省と厚生省が協力して栄養調査をし、昭和22年の6月からコンビーフの缶詰、ソーセージ、脱脂粉乳、小麦粉などの食料放出が始まったというような話もあるようです。
そのような状態なので、大根が取れれば「大根だけ」、とか「・・・しか手に入らなかった」ということは日常的なことだったようです。
この「ばっかり食べ」の意味が、昭和初期のころのものに戻らないように、食料自給率も含めいろいろなことを考えなければならないと思います。
Posted by toyohiko at 12:51│Comments(2)
│食の文化
この記事へのコメント
最近は、給食も和食のメニューだと残食が多いとかいう話も聞いたことがあります。
食べ物が豊富な時代に、伝えていくことの難しさも感じます。
今一度、「いただきます」と「ごちそうさま」の意味を大人と子供が一緒に考えることも大切かもしれませんね・・・
Posted by toyo at 2011年02月15日 17:25
私が小学校の低学年の頃は、給食を残してはいけなかったので、嫌いな物を泣きながら食べた記憶があります。「ばっかり食べ」や「三角食べ」とは違いますが、好きな物を真っ先に食べる子と、好きな物を一番最後に取っておいて食べる子がいました。本郷中学に子供が通っている時、残食0活動をしていて、家の子のクラスはほとんど残食0だったんですよ。残さず食べてくれたら作りがいもありますよね。
Posted by YOUKO at 2011年02月15日 04:52
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